桜の記憶
「だって、あたしこのままじゃちゃんとした居場所見つけることできないし。探してた記憶も帰る場所も全部嘘で、存在そのものが今は曖昧でしょ? だから、みんなと同じ人間になれたら、この世界でも普通に暮らせるようになるんじゃないかなって」
捲し立てるように話し、桜はこちらの反応を窺う。
「気持ちはわかるけど、別に今そこまで気にしなくて良いだろ? 大体、人間になる方法なんかあるのかよ?」
あくまでも、桜は人間が創り出した設定でしかない。
それが本当の人間になるというのは、かなり無理がある。
というか、不可能だろう。
そんな俺の思考を見透かすように、桜はおもむろに人差し指を立ててみせてきた。
「それがね、一つ方法があるの。思いついたの、あたしが自分で。自力で」
「……いちいち強調すんなよ」
どうでも良い部分だが、釈然としないので指摘しておく。
だがしかし、やはり本人としてもどうでも良いことだったらしく、さらりと聞き流して話を続けてきた。
「要は、探せば良いと思うのよ。今までみたいに」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます