桜の記憶
この場で桜の事情を打ち明けたところで、プラスに働くことは何もない。
馬鹿な冗談で片付けられるか、変な不信感を与えてしまうのが関の山だろう。
「年末?」
カレーを食べ終えていた根崎が、水に口をつけながら更に話を続けてくる。
「ちょっと欲しいソフトがいくつか出んだよ」
「ああ、今年の冬は有名タイトルの新作ラッシュだもんね。俺も何本か目をつけてるよ。アプリも含めて」
趣味の話題と知って、一気ににこやかになる根崎。
「でもさ、そんなに切り詰めて計画立てるんなら、いっそバイトでもしてみたら良いんじゃない? 今から探して始めればゲーム代くらい結構余裕で貯まる気がするけど」
「バイトなぁ……。有りかとは思ってるけど、どうにも気が乗らないっつうかさ」
歯切れ悪くそう答えると、根崎は呆れたように頬を緩める。
バイトは面倒な反面メリットは大きい。
それは理解しているのだが、どうしてもやってみようかという踏ん切りがつかない。
「働いたら負けとか思ってるの?」
含み笑いを見せる友人へ、即座に首を振る。
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