桜の記憶
「そんなんじゃねぇけどよ。どうせ大人になったら嫌でも働かなきゃいけなくなんだろ? それだったらせめて今くらいは遊びとか、その、自分のやりたいこと優先にしたって良いんじゃねぇかって思ってるんだよ」
「ふぅん。わからなくはないけど」
小刻みに頷く根崎。
そんな彼を半眼で見やり、俺は逆に問い返した。
「つーか、お前はどうなんだよ? バイトしないで金余裕あるのか?」
「うん、まぁ。お盆に親戚からお小遣い貰ったりしたしね。それに、十月に格ゲーの大会があるから、それに向けての練習もこれから本格的に始める予定なんだ。だから、バイトしてる暇がないよ」
「格ゲーの? お前、去年も出て準決勝で負けてたよな? また出んのかよ」
この友人のゲーム好きは筋金入りだ。ジャンルに拘らずオールマイティにこなして遊んでいる。
地方や近所の小さな大会にも頻繁に出場し、その度に中途半端なところで敗退していた。
「今年は最低でも準優勝するよ。自信があるんだ」
グッと小さな拳を固め、根崎は宣言する。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます