桜の記憶
◆
夕暮れの空をこんなにじっくりと眺めたのはいつ以来だろう。
ファミレスの窓から見える橙色の空は、たなびく雲を巻き込みゆっくりと夜の衣を纏う準備を始めていた。
あれから、桜並木の遊歩道を後にした俺と桜は、真っ直ぐショッピングモールへと移動した。
駅のすぐ近くではあるが、例の本屋とは反対側の位置にある五階建ての建造物。
食品や衣類はもちろん、ゲームセンターや雑貨屋などのテナントも充実しており暇を潰すにはもってこいの場所だ。
じっとしていても落ち着かないのがわかっていたから、適当にぶらつくことを自分から提案した。
特に断る理由もないという風に了承した桜と共にアンティークの小物を見ていたら、偶然有紀と出会った。
彼女も暇潰しにショッピングをしに来ていたらしく、成り行きでそのまま一緒に行動することになった。
それからゲームセンターに寄り、桜と有紀が嫌がる俺を無理矢理プリクラコーナーに引きずり込もうとしているところに根崎が現れた。
中学時代からの友人で、ゲーム仲間でもある彼は有紀とも面識がある。
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