桜の記憶
「本屋に? 夜に行っても店閉まってるだろ」
「そうかもしれないけど、手掛かりくらい見つけられるかもしれないじゃない?」
「うーん……」
じゃない? と言われても俺には判断のしようがないわけで。
「相手はあたしのことを知ってるかもしれない。それはつまり、あたしがこの世界に来た理由や記憶を無くした原因も知ってる可能性があるってことでしょ? 正体を突き止めて話を聞き出す必要があるわ」
ぐっと拳を固める桜。
そんなうまくいくものなのかと疑念を抱いてしまうが、それ以外に記憶を戻す当てがあるかと言われたらないのも現実である。
「つーかさぁ、大丈夫だろうな?」
胡散臭げに俺が言うと、桜は
「何が?」
と首を傾げた。
「お前の正体知ってるってことは、下手すればそいつも特殊な能力を持ってるんじゃねーのか?」
他人の記憶を自由に操作するだけでなく、更に得体の知れない奴まで現れてしまっては、正直俺には荷が重すぎる。
しかし、そんなこちらの心配をよそに桜はひらひらと手を振ってみせてきた。
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