桜の記憶
「難しい説明苦手だからうまく言えないけど、この世界には法律っていうのがあるでしょう? それと似たようなもの。種族ごとに代々伝えられてる風習とか、そういう感じのことを想像してもらえれば」
「……あー、わかるようなわからんような」
そういった規則や風習があったとしても、やはりそれを破る仲間が出てくることは否めないんじゃないか。
この世界の法律や風習だって、ニュースを見れば毎日のように破られているわけだし。
殺人、窃盗、詐欺、誘拐、暴力。
身近なものなら、信号無視や自転車の二人乗り。
いとも簡単に、決め事なんか破られるのだ。
桜の住む世界やそこで暮らす住民たちにどれほどのモラルや良識があるのかは知らないが、そこにあるルールが絶対に破られないなんてことは決して断言などできないはずだ。
「なぁ、桜――」
「それで明日の夜なんだけどさ」
こちらの声に被せるようにして、桜も同時に口を開いた。
仕方なく、俺は発言を飲み込む。
「もう一度、あの本屋に行ってみようと思うの。ひょっとしたら何かわかるかもしれないし」
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