桜の記憶
「その辺は心配しなくて良いよ。あたしが守ってあげるから」
「いや、守る言われても……」
いくら相手が悪魔とはいえ、女子の口からそういうことを言われると、男の身としては情けない気持ちが湧き上がってしまうのだが……。
というか、こいつのこの無駄に不安も迷いも無い自信はいったいどこから出てくるのだろう。
「もし自分よりとんでもない力を持った相手だったらどうするつもりだよ?」
「ないない。仮にそんなのがこの世界に来てるとしたら、とっくに大騒ぎになってると思うけど?」
余裕ぶった表情でさらりと答え、桜はテレビの前に移動する。
それから、床に投げ出したままになっていたゲームソフトをおもむろに漁りはじめた。
「あ、これ面白そう。ちょっとやらせて」
「おいコラ。勝手に人のもんいじんなよ」
こちらの返事を聞くこともなくテレビとゲームのスイッチを入れる悪魔へ、俺は批難の声を浴びせながら舌打ちを鳴らす。
「結局遊びに来たのかお前は……」
桜が感じたという不穏な気配。
それが果たしてどういったものなのか。
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