桜の記憶
「そんなことないわ。雄治は特別だから」
「特別って何がさ?」
「あたしなりにいろいろ調べてわかったことだけど、この世界の人たちって悪魔を悪いものの象徴みたいに思っているでしょう? 正直、そのことを知ったときは凄くショックで……」
強気だった桜の笑みに、ほんの少しだけ悲しそうな色が混じる。
「でも、雄治はあたしをそういう風に思ってない。初めて会った時、あたしが何にも知らずに正体をばらしちゃったりしたのに、怖がらなかったし普通に話をしてくれた。もし、これが他の人間なら絶対に違う反応をしてたはず。特に、大人になればなるほどね」
(……確かに、いきなり記憶読まれて羽根まで生やされたら化物扱いされるわな)
というか、ぶっちゃけ俺も驚いてはいたんだが。
ただ、あまりにも非現実的なことが一方的に展開され、呆気に取られるのが優先されてまともに怖がるタイミングを逃してしまっただけなのだ。
「記憶をいじれば誤魔化せるけど、雄治はそういうの抜きであたしを受け入れてくれてるから、だからあたしはあなたを信頼してるの」
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