桜の記憶

 そして、この肝試しの最終目的は人形の回収。


 昼間のうちに友人達が隠した猫のぬいぐるみ――誰かがゲーセンでゲットしてきたらしい――を見つけだし、それを回収してくるというミッションだ。


 ここまで一階、二階と全室を見て回り、それらしい物は発見していない。


 地下室にある可能性も考えたが、そこへ行くためのエレベーターが壊れていたため真っ先に諦めた。


 地下へ繋がるエレベーターが壊れている以上、友人達がぬいぐるみを隠しに行くことだって不可能だったはずだ。


 となれば、残るは三階のみ。


(考えてみりゃ、あいつらがそんな簡単に見つかるような場所に隠すわけがねぇんだよな)


 ゆっくりと階段を上がりつつ、胸中でぼやく。


 もし、逆に自分がぬいぐるみを隠す立場なら間違いなく入り口から一番離れた場所だ。


 裏をかいて入り口のすぐ近くに、という手段も一瞬脳裏に浮かぶかもしれないが、それですぐ見つけられては全くもって意味がない。


 何のための罰ゲームだって話だ。

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