桜の記憶
一歩進む度に、ジャリジャリという音が耳に響く。
万が一にでも、警備員がいたらあっさりと捕まってしまうのではないかと不安になるが、こんな場所を頻繁に警備する必要性なんかないだろうし、今のところ人の気配など微塵も感じない。
(ま、人がいたらそっちの方が怖いわな)
正直に暴露すると、俺は幽霊や呪いみたいなものは信じていない。
はっきり言って馬鹿馬鹿しいとすら思っているくらいだ。
だから、この罰ゲームを執行されたときも怖いから嫌だというより、面倒くさいから嫌だという感情の方があからさまに大きかった。
大体、こんな廃墟を歩き回ったから何だと言うのか。
浮浪者でも住んでるなら襲われる危険があるため警戒もするが、生憎ここにそんな者が存在する様子はない。
ならば、せいぜい建物の老朽化による物理的な被害。
それに対する注意が必要になるくらいのもので、死んだ人間が現れるなんて空想世界のお話だろうに。
(とは言え、そんなこと言ったら代わりにどんな罰ゲーム用意されるかわかったもんじゃねーしな)
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