第5話 ゲムバリ・ヒューリンクラー
戦場と研究室を往復し、研究に没頭するだけでなくそれを戦場で試し、その効果を様々な同業者に教えていた。
特に彼が開発した魔法。通常は
そして現在は、長い研究と戦場での戦闘の往復で、身体の
しかしその魔法の腕前は健在なため、以前は
──────
「『
ゲムじぃの声に合わせて、僕も呪符をかざす。
「『
僕のサポート魔法によって強化された火の玉が、マツハを中心に膨れ上がり、爆発した。
ドゴォォォオォォンン!!!
『
熱と爆風によりオークの群れは、四肢はちぎれ皮膚は焼けただれ、囲んでいた『
「マツハ! 大丈夫かい!」
爆発の中心に居るはずのマツハに、僕は急いで駆け寄る。そこには、防御で顔の前にクロスして腕を重ねた、マツハが立っていた。
「ぶはぁっ! 熱かったー!」
唐突に動き出すマツハ。
『
「あーあ。自慢の髪が焦げちまったぜ。熱い熱い」
マツハの襟足の部分は兜から出ているため、そこから出ていたプラチナブロンドの髪だけが焦げていた。ほんのちょっとだけ。
「とりあえず無事で良かったよ」
僕はホッとしてから、一枚の呪符を取り出す。
「さて、火傷してる所を治しちゃおう。『
顔や腕など、少し皮膚が出ている所には軽い火傷があったため、僕の魔法で治療した。この程度の火傷なら、呪符一枚で事足りる。
「お前……。『
「もちろん。前にも言ったよね、『自分の事が出来て初めてサポートが出来る』って」
唖然とするマツハを尻目に、治療を手早く終わらせる僕。この程度の火傷は想定内。
「さて、終わったようじゃの。討伐部位を回収して帰ろうかのぅ」
「そうしましょう」
討伐証明として、オークの鼻を削ぎ落として持ち帰る。ただ、そのほとんどは焼け焦げ、原型を留めていなかった。ゲムじぃの『
「ちょっとやり過ぎたかのぅ」
「まあ仕方ないですよ。確実に仕留める方が優先でしたから」
そんな訳で、回収したオークの鼻は14個にもなった。報告よりも数が多い。
これはギルドに報告しとかないとまずいな、と思いつつ、僕たちは帰路に付いたのだった。
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