第9話 ある提案
「わかりました。行きましょう」
そう言って、差し出された
「ふぅ……。これで私の仕事は終わりですね。あなたも気をつけて下さいよ。また、語気を荒げて威圧してきますからね」
心底ホッとした表情を浮かべる
「そちらもお疲れ様でした。まあちょっと考えがあるので、うまくすれば黙らせる事ができるでしょう」
すでに装備は整っているので、このまま出発して大丈夫だ。僕は
転移が終わって
「やっと来やがったか……。はぁ。丸1日待たせやがって……」
これ見よがしに悪態をつく勇士ローム。他の面々の装備を見ると、その一部が壊れていて、僕がいなかった時の荒れた状況がすぐにわかった。
「おら、行くぞ」
ぶっきらぼうに言う勇士ローム。それに反論しようとする
「もうやめましょうよ。
「そっ、そうよ。帰りましょ!」
怯えながら言う二人に、ギロリとにらみを利かせて、さらに先に進む勇士ローム。彼の装備も充分くたびれていた。
「みなさん、提案があります」
先に進む前に、言っておく事がある。僕はみんなに聞こえるように、少し大きめに声を上げる。
「なんじゃな? レクアから提案とは珍しい」
助け船を出してくれる、
「みなさんには見届け人になってもらいます。つまり、『一切の手出しは無用』です」
あんぐりと口を開けて驚いた一行だが、すぐに次の言葉を勇士ロームが吐き出す。
「なんだ?
この後は、
「いやだが、残っているのは『オーガ』だ。他にも取り巻きの魔物もいるだろう。お前ひとりじゃ無理だ」
至極もっともな正論を言う
「今のみんなの疲労具合では、足手まといにしかなりません。ここは僕に任せて休んでいて下さい」
「へっ、休んでろってよ! ずいぶん偉くなったもんだなぁ。じゃあ頑張ってくれや」
なげやりな勇士ロームの言葉で決着がつき、僕ひとりで
─────
しばらく
ヤツらがこの
「グガオォォォォッ!」
開戦の宣言を、オーガの叫び声が上げた。
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