第3話 僕の自己紹介

 そう言えば、自己紹介がまだでしたね。


 僕の名前はレクア・ボードウィル。

 ここ、ユースフェル王国の中にある組織、有志連合ゆうしれんごうギルドに所属している魔術師ソーサラーです。


 もう少し詳しくお話しますね。


 ユースフェル王国は、中央大陸の南の端、ノナルデカン台地という地形の上に建国された王国です。まだ建国から130年程度しか経っていない新しい国で、現在の王様はガブリエラ・ユースフェル女王が統治しています。

 ノナルデカン台地は、その名前の通りに他の地形よりも隆起していて、上面は雨風あめかぜで平らに浸食され、横から見ると文字通りの台形になっています。そして上空から見ると東西南北に角が向けられた、ちょっと歪な菱形ひしがたの形になっています。

 菱形の台地の平らになっている所に、我らの王国がある訳です。


 ノナルデカン台地の北東側は、下草と背の低い樹木がまばらに生えている荒涼とした原野。北西側は人の頭ほどの岩や砂利が一面に続く岩石砂漠。台地の南半分は海に突き出して半島になっており、船が停泊できる砂浜の海岸線はごくわずか。台地の斜面がそのまま海に突っ込むような地形が続いています。

 もちろん他の国との交流はありますが、それら自然の厳しさに阻まれて交易は少ないです。たまにキャラバン隊が行商に行き来するくらい。


 台地なだけに川はありませんが、地下を掘れば水脈はあるので、水に不自由はしていません。それから鉄の鉱脈も発見されていて、鉄製品は潤沢にあります。


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 この国では、農業・商業・工業がそれなりに発展しているため、個々人の間でのやり取りでは限界がある時があります。そんな時に役立つように、各業種の間を取り持って助け合おうという相互扶助組織が国主導で開設されました。それが僕の所属している『有志連合ゆうしれんごうギルド』な訳です。


 その仕事は、道の側溝のドブさらいから魔物の討伐まで幅広く、参加している人員も、研究所のお偉い先生から犯罪を犯して監視付きで仕事をしている人まで、さまざまです。


 そんな中で僕は、『魔物討伐』や『他国の兵力介入を防ぐ』事を主な仕事にしているギルドに就いています。

 ユースフェル王国ができる前には、いくつかの文明が勃興ぼっこうしていたようなので、その遺跡が王国の周辺に点在しています。そこは現在の所では人は寄り付かず、主に魔物の巣窟になっている事が多いです。交易品を運ぶキャラバン隊が襲われたりする事などがたびたびあるので、『駆除』として討伐依頼が入る事があるのです。

 魔物はゴブリン・オーク・コボルド・トロール・オーガなど、多種多様です。別な地域ですとドラゴンも出てくるそうですが、こちらでは滅多に見かけないですね。

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