26話〜黒い影の姿{☆}
ここはブラットの意識世界。ブラットは覚悟を決め、悪魔のような黒い影が来るのを、シロポメと共に待った。
すると黒い影の姿が、ハッキリ見えて来た。
“(大丈夫。多分大丈夫……だと思う。この黒い影から、俺は逃げてちゃダメなんだ。じゃないと前に進めない)”
ブラットは自分に、そう言い聞かせた。
黒い影が、ブラットの側まで来ると、本来の姿を現した。
その姿を見てブラットは青ざめた。
“ちょ、ちょっと待て!翼が生えた黒猫って……それと何で口に、テープがバツの字に貼られてるんだ?”
そう言っていると、その翼が生えた黒猫はブラットの前まで来た。
“やっと追いついた。あのなぁいい加減にしてくれ。オレだって、すき好んでお前を追いかけまわしてるわけじゃない!”
そう言われブラットは苦笑した。
“あーえっと、ごめん。だけど、何で俺を追いかけてるんだ?”
“は?あっ!そっかまたか仕方ない。これもお前にかけられた術のせいだろうからな……いや呪いって言った方がいいか”
“それって、どういう事なんだ?”
ブラットは不思議に思い聞いた。
“オレも詳しいわけじゃないが、お前には複数の術がかけられている。まずその一つが本来の力だ!”
“本来の力って!……”
そう言いブラットは翼が生えた黒猫を指差した。
“ああ。だが、オレはドルマノフが封印した方の力だ!お前には本来の力が別に存在する。すまん、それが何なのか分からない”
“そうなのかぁ。……って!俺の力が他にも存在するって、どういう事なんだ?”
“さあな。ただ言える事は、オレは本来のお前の能力から分離された力だって事だけだ”
そう言われブラットは困惑していた。
“えっと。そうなると、俺の能力の一部って事だよな!”
“そうなるな。それでだブラット。オレには体など存在しないはず。だが今回なぜか、このような姿になっていた”
“じゃ、前にオレが来た時って?”
“そういえば、前回までは影のような存在でした”
そう言いながらシロポメは、ブラットと翼の生えた黒猫の周りを交互に、フワフワと行き来していた。
“そうなんだが。恐らくこの姿っだと、オレを受け入れたとしても、お前の身体に吸収されないだろう”
“それじゃ、どうするんだ?”
ブラットがそう言うと翼が生えた黒猫は頭を抱えた。
“何でこうなったのか。……それはオレが知りたい”
“なるほどですね。そういえば今回ブラットは倒れてこの意識世界に来たのですよね?”
“シロポメ。……そうなのか?”
そう言われシロポメは呆れた表情になりハァと息を漏らした。
“まあ、その事について突っ込むのはやめておきましょう。では、ボクが知りえる限りの事を、お話します”
そう言うとシロポメはフワフワと浮きながら真剣な面持ちで語り始めた。
そしてブラットと翼が生えた黒猫はシロポメの話に耳を傾けた。
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