昔話〜英雄ブラット〜
遥か昔、人間と魔族が争っていた時代。
このサラディアーナには、魔族以外魔法を使う者はいなかった。
その頃は、まだ人間達は自分達でも魔法が使えるという事を知らなかった。
かつて、シェイナルズ国から遥か南東の方角に、クレアロゼという国があった。
クレアロゼ国はシェイナルズ国などより遥かに貧しい国だった。
城も城とは言えぬほど酷かった。
しかし、ある日クレアロゼでは流行り病が広まり、この国の王が流行り病にかかり亡くなった。
この国の王は独り身だった為、王を継ぐ者は誰も居なかった。
そんなある日、シェイナルズ国の使者が来た。
使者の話では、シェイナルズと統合しクレアロゼを1つの国にと提案してきた。
しかしクレアロゼ国に隣接するシュナの街の領主リオン=ホルスは反対した。
その頃のシェイナルズ国は戦争主体の国だった。
クレアロゼ国の亡き王もリオンも国の者達も、争い事が嫌いだった為、国を1つにする事を断った。
しかし、リオンが断った為、シェイナルズの王は怒り、クレアロゼを攻め落とすように兵士達に指示を出した。
そして、クレアロゼは兵士の数が少なかった為と戦争とは無縁の国だった為にシェイナルズ国に攻め落とされ反対したリオンも殺された。
クレアロゼ国の生き残った者達は、シェイナルズ国に連れて行かれ、強制的に男達は兵士にされ、女達は奴隷同然の扱いで労働をさせられた。
そして、リオンには家族がいた。
妻のレミリアと長男のラルク18歳と長女のダリア15歳と次男のブラット12歳だ。
しかし、レミリアとダリアはシェイナルズ城に連れて行かれラルクは家族を守ろうと必死に抵抗したが殺されてしまった。
その時、ブラットは兄のラルクに荷物と武器を持って、裏口から逃げる様に言われひたすら逃げた。
だが、ブラットは家族の事が気になり何度も立ち止まり振り返った。もしかしたら後から来るのではと。
しかし、何度も振り返るが誰も追って来る気配はなかった。
そして、月日が流れブラットは18歳になっていた。
その頃のブラットはシェイナルズ国より遥か東北東の海と隣接したリバーウッズの街にいた。
ブラットは、そこで働きながら本を買い読み、剣の修行をしていた。
そして、その2年後ブラットは、再びクレアロゼがあった場所に戻ってきた。
しかし、そこには廃墟とかした建物しかなく、誰も居なかった。
かつて自分が住んでいたと思われる所に向かった。
その家もほとんど住める状態ではなく、廃墟になっていた。
ブラットは中に入り、辺りを見渡しながら歩いた。足元に何かがあるのに気がつきみると、そこには兄のラルクの服が血に染まり置いてあった。
そして、ブラットは服を良くみると、そこには兄ラルクの屍があった。
ブラットはそれをみて、その場に座り込み大泣きをした。そして、何故自分はあの時1人で逃げたのかと後悔した。
ブラットはこの時ある決心をした。そうシェイナルズ国に復讐する事をここで誓った。
それからのブラットはリバーウッズの街で、今まで以上に剣の腕を磨き色々な本を読みあさりながら、仲間を集いシェイナルズに復讐する為の計画を練っていた。
そして、1年後リバーウッズの街から北西に、シェイナルズ国の国政に異議を求める者達を集め仲間とし共に拠点を築いた。ブラットはそこをピースバーグと名付けた。
そして、更に仲間を集いながら街を大きくしていった。
ブラットは色々と考えている内にある事に気付いた。シェイナルズに復讐する為に色々とシェイナルズの事を調べていたおり、国は国民に重税をかけ払えない者は奴隷となり働かされていた事が分かった。
ブラットはそれを知り、これは国政自体を変えないといけないのではないかと思った。
そして、それを行うにはシェイナルズ国民が、今の国政をどう思っているのかを知った上で、自分達の考えを述べ協力を仰ぐ事を考え、それを実行する事にした。
その時ブラットと仲間達は、王の首を取るのではなく、話し合いをして解決しようと考えていた。それでもダメな時は、そのフリをし脅した上で、戦争主体の国から国民主体の国にすると宣言させようと目論んでいた。
そしてブラットは仲間と共に、シェイナルズ城の協力者を通し、ピースバーグ国の王としてシェイナルズ城に赴いた。
そして、シェイナルズ国の王と会いクレアロゼの事を話すと、王の顔が青ざめた。
ブラットは出来れば争わずに済めばと思っていた。だが、王はブラットがクレアロゼの生き残りで、リオンの子供だと知り、配下の者達に仲間共々始末しろと命令した。
ブラットは仕方なく仲間達と共に、もう一つの策を実行する事にした。そして配下の者達を倒していき、王を追い詰めた。ブラット達が思っていた通り、それを見たシェイナルズの王は命乞いをしてきた。
ブラット達はそれを見ると計画通り、シェイナルズの王を脅し民衆の前で戦争主体の国ではなく国民の為の国にすると宣言させ、更に自分の国ピースバーグを、一国家として認めると宣言させた。
それから、ピースバーグはブラットが正式な王になり、更に発展していった。
その後ブラットはあらゆる書物を読み、各地を旅をし書き留めた記録を読み返しながら、魔族と人間が何故争いをしているのかと疑問に思い、自ら仲間達と魔族領土エクスダールに赴き色々と調べる事にした。
人間だと分からないように変装し正体を隠し魔族領土エクスダールに侵入した。そして調べた結果、魔族の者の中にも戦いを好まない者がいる事が分かった。
ブラットは争いを好まない魔族の者と協力し合い魔族領土エクスダール国内を色々と調べてみた。すると当時の魔族の王は自分の行政に歯向かう者を不当に惨殺したり、不当に労働をさせていた。
特に頭の良い人間を脅威に思い嫌っていた為、人間と分かると即その場で惨殺していた。
そして、この頃既に魔族の王は人間を抹殺する為の計画を目論んでいた。
それに気付いたブラットは一緒に来ていた仲間達と魔族側の協力者と共に、その戦争を阻止する為に立ち上がった。
ブラットは魔族の王を普通の方法では倒せないだろうと思い仲間達と魔族の協力者達と何かいい方法は無いかと考えた末にある事を思いついた。そう剣を作ろうと思ったのだ。
そして、錬金術と魔法を用いて合成し2本の剣を作った。その剣は後に聖剣として世に名を残す事になる。
その剣の名は宇宙の剣(現在は青の聖剣)と大地の剣(現在は緑の聖剣)と名付けられ、大地の剣を魔族でこの剣が扱える者が持ち、宇宙の剣をブラットが持つ事にした。
そして、ブラットは仲間達と魔族の協力者と共に、魔族の王のいるキリア城に乗り込み、死闘の末に倒す事ができた。
その後、魔族の王を倒す事が出来たが、王が不在では国の治安を維持する事が出来ないだろうという事になり、国の代表となる者を決め新たな王とした。
そして、人間と魔族との争いを減らす為、魔族の王と話し合いお互い協定を結んだ。
人間側と魔族側との境界線を敷き大規模な範囲に関所を設け、お互いに行き来を監視し、何か問題が起きた時は互いに話し合い解決する事。
そして、利益の為、お互いの情報を交換する環境を整える事と、そう約束を交わした。
ブラットは自国に戻り、しばらくして自分が生まれ育ったこのクレアロゼに誰も寄せ付けないようにする為、その土地をクレアロゼ地方と名付け、ピースバーグ国の領土とした。
そして現在も、クレアロゼ地方をピースバーグ国の領土として扱われている。
ブラットはピースバーグ国に錬金術などを広め発展させていきどんどん国を大きく成長させていった。
そして、ブラットの死後も後の王が国の領土を増やし、首都シャインスプラウトを築き大きく成長していった。
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