15話〜閉会

 レオルドは目の前に本を置きスプリガンに付いて話し出した。


「ブラットがスプリガンと戦うと言う話の前に、少しスプリガンに付いて話しておきたいと思います。」


 そう言うとレオルドは本を開いた。


「スプリガンの事に付いて知らない方もいると思いましたので、先程部屋で休んでいる時にレフィカルさんに頼み、書庫からその事が記載された本を持ってきて頂きました。今からここに書かれている事を簡単に解説させて頂きます。」


 するとレオルドは本を掻い摘んで読み始めた。


「スプリガンとは、極めて醜くずんぐりしたドワーフの姿をしています。小柄で可愛いのですが、体の大きさを自由に変える事ができるようです。普段は遺跡や古墳などの宝物庫を縄張りにしています。縄張り意識が強く、その縄張りを荒らされると怒り、巨大化したり大嵐や雷を起こすと言われている。と記載されています。ですが、あくまでこれは要点だけを拾いましたので細かい内容の方は作戦会議の時にでもと思っています。」


「そうなんですね。でも、疑問に思ったんだけど。そのキリア城にいるスプリガンが、いきなり見た事もない草原に転送されて縄張りと思えなくて、何も起こらないって事もあり得るんじゃないかな?」


 コトネがそう言うとレオルドは本を閉じ話し出した。


「確かにそれはないとは言い切れません。ですので、何かの役に立つのではと思い、私はこの本をここに持ってきました。今からその事も踏まえて話を進めていきたいと思います。」


「レオルド。どうしてもスプリガンと戦わなきゃいけないのか?」


「ブラット。いいえ、私の考えではありますが。先程コトネが言っていたような状況になった時は、無理に戦わなくてもいいのではと思っています。」


「確かにな。だが、その逆もないとは言い切れねぇ。」


「ええ。もし戦闘になるような場合の事を考えると、今のブラットでは倒す事は出来ないと思います。それで、スプリガンと戦闘になった時の事を考え、ブラットを鍛えようと思います。」


「うむ。その方がいいじゃろう。だが、そうなると誰がブラットを鍛えるのじゃ?」


「ドルマノフ様。それを今決めたいと思っています。それで、役割を分担したいのですが、その役割とは、体力など肉体的な強化をする班、魔法の知識や実戦を想定した強化などをする班、学問などを教える班、とりあえず私が必要だと思った役割はこの3つです。他に必要だと思う役割があれば言ってください。なければこれで分けたいと思います。」


「そうね。私はそれで良いと思います。それで、レオルドどう役割を分けるつもりなのですか?」


 マリアンヌに聞かれ、レオルドは目の前に紙の束をおいた。


「その役割に適した方々にお願いしたいと思っています。それで、先程作った役割を分担したものを、皆さんに渡したいと思います。」


 そう言うとレオルドは適当に分け、自分の両脇にいるドルマノフとフェリアに渡し、それを順々に一枚づつ取っていった。


 そして、全員に行き渡ったのを確認するとレオルドは話し出した。


「その紙に書かれている分担表を見て頂けると分かると思いますが。……。」


 その紙に書かれていた役割分担とは、


【体力など肉体的な強化をする班:ガルド=フレイ、ルルーシア=レオ、ハング=モルグ、フリック=マグナ、ジェシカ、レフィカル、グレン】


【魔法の知識や実戦を想定した強化などをする班:ビスカ=マードレア、レヴィ=エンリケ、サアヤ=ワーズ、ヴィオレ=ルージュ、コトネ=ハープ、フェリア、レオルド=ミスト】


【学問などを教える班:マグド=R=シェイナルズ、ドルマノフ=マードレア、ヴィオレッタ=アッズィロ、カトレア=ミュー=キリア、クレイデイル=ミュー=キリア、マリアンヌ=ルーチェ】


 と書かれていた。


「……となります。もしこの分担に不満がある場合は、今この場で申し出て下さい。なければ、このままおこなっていきたいと思います。」


「申し訳ありません。このままここにクレイデイル様といたいところなのですが。デルカ様の事が心配なので、私は明日にでもここを立たないといけませんので、この役割に入る事は叶いません。」


「レヴィさん、分かりました。そのように変更しておきます。他の方は大丈夫でしょうか?」


「レオルド!この役割分担なのですが。私が何故、魔族と一緒に行動を共にしなければいけないのですか?」


「マリアンヌさん。ふぅ、困りましたね。ではこうされてはいかがでしょうか。マグド、マリアンヌさん、ヴィオレッタの3人と、ドルマノフ様、カトレアさん、クレイデイルさんの3人に分けると言うのはどうでしょう。」


「私は、マリアンヌさんと組むくらいなら、魔族の方々と組んだ方がましですの。」


「はぁ、分かりました。では、ヴィオレッタさんとドルマノフ様を入れ替えるという事で如何でしょうか?」


「そうね。私は、それで構いません。」


「私もそれで構いませんの。」


「学問などを教える班は二手に分かれましたが、話せる者が代表になり、色々話し合いをし交代でお願いします。」


 レオルドがそう言うとマグド達6人は頷いた。


「では、他にないようですので、進めていきます。」


 そう言うとレオルドは役割分担表を書き直した。


「それでは、役割分担も決まりましたので、後は各班ごとで相談し進めて下さい。それと、スプリガンと戦う日取りなどは、ブラットの様子を見ながらという事にしたいと思います。それでは、残るは杖の事とブラットの力の事なのですが。その事に付いては、ガルド様の聖剣の事も話したいと思いますので、後に一部の者だけで地下の研究施設で話をと思うのですが?」


「そうですね。私はそれで構いませんが。皆さんはどうなのかしら?」


 マリアンヌがそう言うとその場にいる者達は少し考えたあと頷いた。


「では、今日はここまでという事で話し合いは終わりとし、解散したいと思います。」


 そう言うとレオルドは皆に挨拶をしたあと解散した。


 そして、レオルドは結界を解きレフィカルに支えられ部屋へと向かい、ガルド達も各自部屋へと戻っていった。

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