12話〜神の名

 ここはクレアノヴァ城の広間の特設会議場。グドルフマグドは、レオルドに言われ被っていた帽子を取り正体を明かした。


「俺は……いや私は、グドルフではなくマグド=R=シェイナルズ。恐らくレオルド以外にも気付いていた者はいただろうが。それに、このグドルフと言う名はかつて城を抜け出しガルドと共に旅をしていた時に名乗っていた名だ。」


 マグドがそう言うとグドルフがマグドだという事に気付いていなかった者達は驚いた。


 ハングは立ち上がりテーブルに手をかけ勢いよく立ち上がると身を乗り出し、


「ちょっと待て!何でシェイナルズの王がここにいる!?」


「ハング。その事について今話せば恐らく、話がややこしくなると思いますので後で時間がある時にでもじっくり話をした方がいいでしょう。その方がいいですわよね?マグド。」


「ああ。そうだな。マリアンヌすまない。まずこの事から話した方がいいだろう。」


 マグドは下を向き一息吐くと話し出した。


「私は昔、城を抜け出しガルドと共に旅をした。城の者に見つかり数回連れ戻された事もあったが。そしてガルドとの最後の旅の後、そうガルドがカトレアと結ばれシェイナルズに戻ってきた頃。私の父である前王は、床に伏せることが増え顔もやつれてきていた。その時は歳のせいだと思っていたが、自分が王になり父の身に何が起きていたのか今になって身を持って分かり、何故自分が王になる前に、父の身に起きていた事をもっとちゃんと調べていなかったのかと悔やまれる。」


「マグド?まさかと思うが。度々俺に無理難題を言って調べさせていた事と関係があるのか?」


「ああガルド。その事と今話している事と関係しているが、その事については後で話す。……私は父が亡くなり王になった。そして、しばらくして神の声が聞こえるようになっていた。そして神と会話ができるようになったのは、丁度ブラットが産まれた頃だったと思う。」


「マグドなるほどな。ブラットに術を掛けた神の1人がマグドに干渉してきたって事か。」


「ガルド。恐らく、そうだと思うが確証はない。それと先程も言ったが、父が床に伏せるようになったのはその神のせいなのではと思っている。」


「なるほどな。それでその神の名は分かっているのか?」


「クレイデイル。ああ、当然知っている。ほとんど側に居たからな。」


「ですが、私が側に居た時には居られなかったようでしたが?」


「レオルド。恐らくはレオルドの側にいる女神ブルーノア様を警戒していたのだろう。そのせいかしばらくの間姿を現さなかった。だが、昨日、突然姿を現した。そして、その神の名は建国と政治を司る神ダライアス様だ。」


 マグドがそう言うと会場が騒ついた。


「なるほどアイツか。さっき何処かで見た事があると思ってたが。まだ懲りずにあの城に居座ってたって事か。」


「ガルド知っているのか?」


「ああ。以前色々とそいつに世話になったからな。」


「まさか。この件にダライアスが関わっていたなんて。」


「フェリア様。この件はやはり私達だけではどうする事もできないと思いますが。」


「レオルド、確かにそうですね。上位の神が関わっているとは思いましたが。」


 フェリア達の話をブラットは黙って聞いていたがふと気になり、


「えっと。聞きたい事があるんだけど。今フェリアが上位の神って言ったけど、それってつまり階級とかあるのかな?」


「そうですね。人間や魔族にも階級や組織があるように神々にも階級があり上位の神から下位の神がいます。そして組織分けもされているのです。」


「そうなのか。その階級とか組織の仕組みってどうなってるのかな。」


「どうしましょう。まさかブラットからこれを聞かれるとは思ってもいませんでした。」


 フェリアはそう言うと目を閉じ下を向き考え込んでしまった。


「フェリア様。話されても問題ないのでは?とブルーノア様が言って居られましたが。」


「レオルドそうですね。確かに話しても問題ないかもしれませんね。」


 そして、フェリアは少し間をおき話し出した。

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