10話〜城の名
ここは名も無き城の広間に作った特設会議場。ブラット達は話し合いをしていた。
ハングはブラットが発した言葉に対して怒りを露わにしブラットに暴言を吐いた。
ブラットはハングに言われ一瞬驚き戸惑ったが、ハングをみて、
「……そんな事言われても。俺だって強くなれるんだったらなりたい!今までだって、何度も強くなろうとしたんだ。だけど、なれなかったんだ……。」
「俺が言いたいのは、そんな事じゃない!何でお前はそうおどおどしている!?もっと堂々とした態度が取れないのか!!」
「確かにハングの言う通りだ。ブラット!俺は昔、お前に言った事があったよな。何て言ったか覚えているか?」
「親父が俺に言った言葉……確か、もっと精神を鍛えろだったかな?」
「ああ、そうだ。今のお前は、確かに昔に比べ泣かなくはなった。だが、気持ちが昔に比べ弱くなっている。」
「気持ちが弱くなっているって言われても、どうやったら気持ちが強くなれるのか分からない……。」
ブラットはハングとガルドに言われ、どうしていいか分からなくなってしまい俯いてしまった。
「ブラット。気持ちが強くなれねぇのは、なろうとしないから……いや、別にならなくても構わねぇ。ただ、弱い自分を表に出すな。常に気を張って行動すれば少しはましになるはずだ。」
「うん、分かった。やれるかどうか分からないけど、やってみる。」
ブラットは目を閉じ深呼吸をすると、今
「えっと、ごめんなさい。やっぱり直ぐには無理だと思う。でも、努力する。自分でも今のままじゃ駄目だって思ってるし。」
ブラットが下を向きながら言うとハングはそれを見て溜息をついたあと、
「そうだな。まぁ、さっきよりはマシに見える。それで良いんじゃないのか。」
レオルドは、このままでは話が先に進みそうもないと思い、今話すべき事を話し始めた。
「話がなかなか進みそうにないようですので、私が進行して行きたいと思います。では、先に決めたい事があります。それは、この城にはまだ名前がありません。」
「私はサアヤ=ワーズ。スカイネーブルで聖剣士をしていた。現在はシェイナルズの傭兵ギルドに所属している。傭兵ギルドの依頼書をみて、ブラットの事を知った。そして、ブラットの村にフリックとコトネと会いに行き知り合い。ひょんな事からブラットと一緒に旅に出る事になった。それで、確かにレオルドの言う通り、この城にはまだ名前がない。ただ、名前を決めるにしても、直ぐに決めるのは難しいのではないのか?」
「俺は、フリック=マグナ。サアヤと同じスカイネーブルで聖剣士をしていた。ブラットと知り合った経緯も同じだ。そんで、サアヤの言う通り、どう決めるつもりなんだ?」
「その事については、これから皆さんが案をだし、決めて頂きたいのです。」
「私はヴィオレッタ=アッズィロと申します。それは面白そうですの。私がこの城に名前をつけるとすれば、そうねぇ……ヴィオーラという名前はどうですの?紫です。そして私は、紫色が好きですの。」
ヴィオレッタがそう言うとレオルドは紙に書き留めていた。
「ヴィオレッタ!あのね……あっ!私はヴィオレ=ルージュです。紫って、一応この城はブラットの城なわけで、そんな簡単な名前じゃない方がいいと思うんだけど。」
「じゃあ、ヴィオレはどんな名前がいいと思いますの?」
「私はね。ムーンライトはどうかな?月の光のような城って事で……。」
「私はコトネ=ハープだよ。そんでさぁ、ヴィオレ。月の光だとブラットが余計に目立たなくならないかなぁ。私だったら、サンライトクレアにするかな。太陽の光とここの地名の一部を加えてね。」
「サンライトクレアって……。あっ、俺はグレンです。コトネ、それだとブラットが名前負けするんじゃないのか。」
「ん?そっかぁ。確かにそうかもね。んー、それなら、レオルドが決めた方が早いんじゃないかな?」
コトネに言われレオルドは困った顔になり、
「それは、そうなのでしょうが……やはり、この事は皆で決めた方が良いと思いますので。」
「確かに、そうだな。だが、この城はブラットの城だったよな?」
「ガルド様。確かにそうですが?」
「それなら、ブラットに決めさせた方がいいんじゃねぇのか。」
「それもそうですね。では、ブラットに決めてもらうとしましょう。」
「えっ!えっと、そうだな。ん〜、城の名前か……俺が今思いついた名前なんだけど。クレアノヴァはどうかな?」
「クレアノヴァ。響きはいいと思いますが。ブラット、この名前にはどんな意味合いがあるのですか?」
「レオルド。……クレアノヴァのクレアは、さっきコトネが言っていた事と同じでクレアロゼからで。そして、ノヴァの意味は新星なんだけど。俺は夜空を眺め星を見るのが好きなんだ。でも、ただの星よりもって考えてたら、そういえば、この城は新しく造ったんだから、それなら新星がいいかと思いノヴァがいいかなって思ったんだけど。どうかな?」
ブラットがそう言うとレオルドは下を向き微笑んでいた。
「ブラット。その名前は良いかも知れませんね。ただ、皆さんの意見も聞いてみないといけませんので。」
「クレアノヴァか。俺は、良いと思うが。」
ガルドがそう言うとマリアンヌがブラットをみて、
「確かに、悪くはありませんわね。でも、ブラット。思っていたよりはセンスと中身はあるようですね。」
「マリアンヌさん。あーえっと、はぁ……。」
「他に意見が無いのであれば、城の名前はクレアノヴァとします。では、城の名前が決まりましたので、本題に入りたいと思います。私も含め、皆さんから見た現状のブラットは最悪だと思います。このままでは、世界の運命を取り戻す事など不可能に等しい。ですが、他の者では駄目なのです。」
「私はジェシカ。かつてガルドと旅を共にした者です。それでさぁ、レオルド!それはどういう事?何で、ブラットでなければ駄目なの?」
「俺は、レフィカル。ジェシカと同じ昔ガルドと旅を共にした者だ。それでだが、ジェシカの言う通り、別に他の奴でいいんじゃないのか?」
「それでは、駄目なのです。何と説明したら良いか……。」
そして、レオルドは少しの間、目を閉じ考えていたのだった…。
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