第47話
丁寧にお礼をいって河合邸を辞去した金太たちは、まともに座ることができないくらい熱せられたサドルに跨り、一列になって金太の家に向かった。
「すごい家だったね」
ネズミは自転車のスタンドを起こしながらいった。
「だろ? あんな豪邸は滅多にない。もしあってもオレたちが入れるようなことは絶対にない。ところでお爺さんがくれたこのドリームなんちゃらっていうのはなにするもん?」
金太は真面目な顔でアイコに訊く。
「これはね、インディアンのある部族に伝わる装飾品で、悪夢をこのネットで引っ掛けて、いい夢だけがこの隙間からすり抜け、そしてこの羽根を伝って降りて来るというお守りみたいなものよ」
「そうなんだ。ところでノッポ、お爺ちゃんと庭先で話ししてたろ?」
ずっと気になっていた金太は、どうしても訊きたかった。
「あれは、お爺さんが、よく暗号を解読できたねっていうから、金太がお父さんからもらったヒントを教えてくれたからです。あとはネットで調べましたっていっただけや」
ノッポはそのときの状況を簡単に説明した。
「なんだそんなこと話をしてたのか。なあみんな、夏休みもあと少ししかないけど、また会わないか?」
「ええよ」「いいわ」「うん」
4人は家の前で、いつも別れるときにする手重ねの儀式を済ませると、近々の再会を約束してペダルを力強く踏み込んだ。
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