第5話 

 5人は再び冥界にやって来た。イサムは宿敵のニシキを葬ることに躍起になっていた。

 黒いボディカラーのヘリが上空に現れた。

 2号は口から火炎を放射した。3号は目からレーザーを放射した。ヘリはホバリング態勢に入った。ハッチが開いて次々に手榴弾が落ちてくるが5人はビクともしていない。

 4号は空をスイスイ泳いでコックピットに近づいた。

 4号は強引に入り込んでパイロットを奈落の底へと突き落とした。

「ウギャアッ!」

 ヘリをジャックした5人は富士山みたいな山に向かった。

 クジラの怪獣が現れた。

 1号はマチェットをイメージした。『13日の金曜日』でジェイソンが使う凶器だ。1号は今回、冥界にやって来たときにイメージした武器を扱える魔術を覚えた。盾やカレー、コンドームなどはイメージしてもリアルにすることは出来ない。1号は密かに5号とやりたいと思っていた。

 1号がマチェットでクジラを斬りつけた。緑色の血飛沫を迸らせた。だが、死にはしなかった。5号は山頂に転がっていた大岩をテレパシーで浮かび上がらせて、クジラにぶつけた。クジラは死んだ!

 クジラは口から玉を吐き出した。『鎌』と書いてあった。5人は鎌倉時代へと旅立った。

 

 4月30日 藤原泰衡の軍勢が衣川館を襲撃。1号も泰衡の側近として戦った。

源義経自害。


 5月22日 奥州より義経誅殺を伝える飛脚が鎌倉に到着。2号は飛脚をパイロキネシスで倒した。


 6月8日 義経滅亡を受けて、後白河法皇より戦闘停止の院宣が鎌倉に届く。


 6月13日 藤原高衡が義経の首を鎌倉に持参。和田義盛・梶原景時が実検。

 

 6月25日 源頼朝が泰衡追討宣旨の発給を朝廷に要請。


 6月26日 奥州で兵乱。藤原忠衡が殺害される。


 6月30日 頼朝、奥州征伐について大庭景義に諮問。


 7月16日 泰衡追討の延期を命じる宣旨が鎌倉に届く。頼朝、宣旨なしでの出兵を決断。


 7月17日 終日審議。東海道軍・大手軍・北陸道軍の三軍を編成して、進攻ルートを決定。


 7月18日 北陸道軍が鎌倉を出発。


 7月19日 頼朝が率いる大手軍が鎌倉を出発。越後の囚人・城長茂を軍勢に加える。


 7月25日 頼朝、下野国古多橋駅に到着。宇都宮社に奉幣。



 7月26日 頼朝、宇都宮を出発。常陸の佐竹秀義を軍勢に加える。


 7月28日 新渡戸駅に到着。城長茂の郎従200余人が参集。


 7月29日 頼朝、白河関を通過。


 8月7日 頼朝、国見駅に到着。


 8月8日~10日 阿津賀志山、石那坂、根無藤で戦闘。藤原国衡・金剛別当秀綱・佐藤基治・金十郎らが戦死して奥州軍大敗。


 8月11日 頼朝、船迫宿に到着。国衡の首を実検。


 8月12日 頼朝、多賀城国府に到着。東海道軍が合流。


 8月13日 北陸道軍、出羽国で田川行文・秋田致文を討ち取る。


 8月14日 頼朝、玉造郡に発向。小山朝政、物見岡を攻略。


 8月20日 頼朝、玉造郡多加波々城を攻略。


 8月21日 頼朝、平泉に発向。栗原・三迫の要害を攻略して津久毛橋に達する。泰衡、平泉に火を放って逃走。


 8月22日 平泉陥落。


 8月25日 衣川館の藤原基成父子が投降。


 8月26日 頼朝の宿所に投降をほのめかす泰衡の書状が投げ込まれる。


 9月2日 頼朝、平泉から岩手郡厨河柵に発向。


 9月3日 泰衡、比内郡贄柵で郎従の河田次郎に殺害される。


 9月4日 頼朝、志波郡に到着。陣岡で北陸道軍が合流。


 9月6日 河田次郎、泰衡の首を陣岡に持参。頼朝、前九年の役の故事に倣い、釘を打ち付けて梟首とする。


 9月8日 頼朝、奥州平定の飛脚を京都に送る。


 9月9日 一条能保の使者が陣岡に到着。7月19日付の泰衡追討宣旨を持参。


 9月11日 頼朝、陣岡を出て厨河柵に入る。


 9月19日 頼朝、厨河柵を出発。平泉に戻る。


 9月22日 頼朝、陸奥国の奉行を葛西清重に命じる。


 9月28日 頼朝、鎌倉に向けて帰還。


 1号は鎌倉の山奥に不思議な扉があることを知った。他の4人たちと扉を開けた。1号たちは1994年に戻って来た。

 10月1日の夕方、渋谷……1号は、片面に傷を持つ男、ハヤマ・ヒョウマという酔っぱらいと出会う。どこか品性のあるヒョウマに惹かれるものを感じて友人となった1号は、毎晩バーを共にするようになる。10月7日の深夜、ヒョウマは1号の自宅を訪れると戦国時代の尾張(愛知県)に連れて行って欲しいと頼み込む。詳細は聞かず、1号はマチェットでヒョウマの首を切り落とし、自らの腹をかっさばくと冥界にやって来た。他の4人も冥界に来ていた。2号たちは横浜港でタンカーをジャックしたが、テロリストが現れ手榴弾を投げつけられ爆死した。

 ゾンビと対峙した5人組とヒョウマは、5号のブリザードと1号のマチェットで次から次へとゴーストタウンに現れたゾンビを倒した。


 尾張に彼を送り届けた1号であったが、安土桃山城近くにある時空の扉を使って、1994年に戻ると待っていたのは、妻殺しの容疑でヒョウマを捜している警官であった。1号は殺人の共犯者として逮捕され取り調べを受けるが、神通力でヒョウマがニシキであることを知る。逮捕されれば復讐が出来なくなってしまうので、ニシキを庇って黙秘を通し、反抗的な態度も手伝って警察から手酷い扱いを受ける。特に、フカガワってデブった刑事からは裏拳を喰らわされたり、拳銃をこめかみに突きつけられたりした。

 しかし10月15日正午、3号からニシキが自殺した旨の情報が届き、1号は釈放される。


 しばらくして1号は、ある出版社から失踪した人気作家ヘンリー・星の捜索を依頼される。依頼を受けるか迷う1号であったが、やがてヘンリーはニシキの隣人であったことを知る。さらに彼の妻、マユミからも頼まれ、渋々引き受けた1号は、道玄坂でアルコール中毒のヘンリーを発見し、連れ帰る。その後、見張り役としてヘンリー邸に留まることとなった1号は、マユミから誘惑され、彼女が湾岸戦争で亡くなった恋人のことを今も深く愛していることを知る。


 1号はヘンリーに対する仕事の傍らで、ニシキの件についても調査を続ける。彼の交友関係や来歴には不思議なことも多かったが、それ以上のものもなく打ち切りを検討し始める。そんな折、今度はヘンリーの死体が東京湾で発見される。1号は自殺とみるが、マユミは1号が殺したと激しく非難する。そして、ニシキの件で1号を脅迫してくるギャングの親玉となった3号、大富豪になった2号など、くせものが次々と1号の前に現れる。


 その後、1号はニシキの妻殺しにマユミが関わっていることに気づく。やがて1号は、ニシキの妻とヘンリーを、マユミが殺害したという結論を出し、さらにマユミの亡き恋人こそニシキであったと推定する。その推理を突きつけられたマユミは何も言わず去り、後日、罪を認める手紙を残して彼女が服毒自殺したと1号は知る。

「青酸カリを使ったようだ」

 フカガワが教えてくれた。


 事件や謎はすべて解決したように見えたが、1号はなぜか釈然とせず、さらに3号から暴行を受ける。最後に1号は、戦国時代の尾張から来た男の訪問を受ける。男は、ニシキが死んだホテルにいたという。だが、1号はこの男こそが、整形して顔を変えたニシキであると気づく。


「ニシキを見つけたんだ」

 1号が言った。

「そりゃあよかった、儂たち魔族は人を殺せば殺すほど魔術を覚えられる」

 2号はウキウキ気分だ。

 

 平和だった村にある日突然、扉の秘密を狙う侵略者、ニシキとその一党が襲いかかった。自動車工場の社長である父親を目の前で殺害され、自らは奴隷の身となった4号は悲惨な境遇の中、強靭な肉体を持つ女性へと成長を遂げる。10月29日、2号によって解放された4号は自由の身となり、旅の途中の宿で3号と再会する。

「これまでのことは悪かったよ」

 3号は改心した。

 4人は龍を神として崇めるスドウの神殿にある財宝を盗みに入る。4人は先に盗みに入ろうとしていた5号と手を組み財宝を盗み出す。神殿から逃げようとした4号は、壁に掲げてある龍の紋章が、両親を殺したニシキの紋章と同じことに気付く。


 神殿から逃げ出して豪遊していた1号たちは、街を治めるスドウ・セイリュウの前に連れ出される。

 セイリュウはニシキの魔法にかかり、ロボットに姿を変えた娘ミナミを助け出して欲しいと懇願する。5号と3号は危険な旅に反対するが、1号は一人で豊田にあるロボット工場に向かう。しかし、工場に辿り着いた1号はニシキに捕まり拷問を受け、磔にされてしまう。1号は、5号と3号に助け出されたものの瀕死の重傷を負い、5号は2号に魔法で助けて欲しいと懇願する。

 その夜、死神が1号を連れ去ろうとするが、工場の従業員を次々にマシンガンで撃ち殺した、2号は回復の魔法を取得した。

「イキマス!イキマス!」

 2号が呪文を唱えると、遅れてやって来た4号が笑い転げた。

「坂上二郎か?アンタは!」

 1号は一命を取り留めた。


 5人は工場裏手にある山の洞窟に忍び込み、ニシキの手下たちを倒してミナミを救い出して脱出するが、ニシキの放った矢に5号が射抜かれてしまう。5号は1号たちに看取られて息を引き取り、1号と3号は神々の墓所に戻り彼女を荼毘に付す。

 4人は戦いの準備を終え、4人を追って来たニシキの一団を迎え撃つ。1号は前田慶次に不意を突かれ槍で殺されそうになるが、死者の世界から駆け付けた5号に助けられ、前田慶次を倒す。手下を失ったニシキはミナミを殺そうとするが、3号に阻止され一人工場に逃げ戻る。

 4号の巧みなハッキング技術によってロボは破壊された。

 1号は魔法が解けたミナミと共に聖山に向かい、ニシキをマチェットで斬り殺し、仲間の仇を討つ。

「これで親父たちも成仏出来る」

 4号は涙を零した。

「これからどうする?」

 3号は自販機で買った温かい缶コーヒーを飲み、ポツリ言った。

「紅葉にでも行こうよう?」

 1号の寒いギャグに2号はクシャミをした。🍁🍁🍁……Fin

 


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ジャックFIVE 鷹山トシキ @1982

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