第35話 ラタムが出会ったもの
「そんなこんなでパムは地上に降りて、パムに協力してくれる人を探してたらリズにあったパム。」
「そっか…そんなことがあったんだね…。」
もともとパームのことは気になっていたが、まさか神様に仕えているオプティルトだとは思わなかった。
パームは何かを思い出したようにラタムにあることを聞いた。
「そういえばラタムは他の4人の居場所を知ってるパムか?パムはリズたちと行動してたから、サイネリアとラタムにしか会ってないんだパム。」
パームが聞くと、ラタムは少し考えるそぶりを見せ、パームに言った。
「一応会ったには会ったんじゃが…今何処に居るかまでは…。」
「それだけでもいいんだパム。話してくれパム。」
ラタムは渋々と言った感じで話し始めた。
「あれは…」
ーーー
驚きの神キュランから、アルフ、ベル、サイネリアを探すためラタムは地上に降りていた。
「うーむ…妾はとてもめんどくさい…。」
神たちは自身のオプティルトをそれぞれ違う場所に派遣することにしていた。
理由は単純、全員が固まって探すのは合理性に欠けるからだ。
合流する際には連絡を取り合えばいい。
それならば今探している他の3人にも連絡を取ればいいのではないか?と思ったが…
「まさか通信魔法を遮断しているとは…。」
なんともめんどくさいことに、3人は通信魔法を遮断していた。
最初からこちらに連絡を取らせる気は無いらしい。
「アルフやベルは兎も角、サイネリアは何故通信出来ない?」
不思議なのはサイネリアだ。
彼は個性豊か?な使い魔の中でも比較的温厚で、しっかりと自分の意見を言う事が出来るはず。
「まさかシェチェ直々に連絡を遮断したのかのう。」
本人が居ないのでなんともいえないが、彼は人類殲滅には不賛成だ。
細部は違えども、彼はラタムやパームと同じ意見だ。
「さっさと終わらせて趣味に没頭したいものじゃが……ん?」
自分のやりたいことに注ぐ時間が削れたことにがっかりしていると、森の奥の方に見慣れた姿を見つけた。
「おや?こんなにも早く見つかるとは、今年は運がいいのう。」
ラタムは森の奥へ入って行き、その見慣れた姿の奴に話しかけた。
「久しぶりよのう、アルフ。」
「……最悪だ。何故よりにもよってお前なんだ……。」
怒りの神グラッドの使い魔、サンダーバードのアルフがそこに居た。
「とにかくその人間の姿を今すぐに解け。本当にお前は苦手だ。」
「仕方ない……。」
ラタムが変身を解くと、そこには尾が9本生えた狐、詰まる所、九尾の狐がそこに居た。
「今すぐに戻ってきてくれないかえ?妾の時間が減るものでな。」
「無理に決まっているだろう!俺はグラッド様の言うことしか聞かない!」
怒りながら言葉を吐いて、どこかへ飛び去ってしまった。
ーーー
「その後アルフがどこへ行ったのかは知らぬが……ニックに聞けばわかるかも知れんの。」
「ニックが連絡魔法を遮断してるかも知れないパムよ?」
「たぶん大丈夫じゃ。」
どうやらラタムが見かけた神獣アルフは説得するのが大変そうだ。
本当に神獣全員を説得することができるのだろうか?
リズとソレイユは不安に思いながら、ラタムとパームが話すのを見守っていた。
「リズ、そういえばそろそろ集合時間じゃないパムか?」
「え?今何時?」
「ほんとだ!もう集合時間だわ!」
ソレイユが腕時計を見ると、時刻はすでにチェスたちと合流する予定の時間だった。
リズたちはラタムを連れて、チェスたちと合流する場所へ向かった。
ーーー
集合場所である広場に着くと、すでにチェスとレオが噴水の前にいた。
「遅れてごめん!」
「いや、小生たちもついさっき来たばかりなんだ。おいリズ、そこのやつは誰だ?」
レオはリズたちの後ろにいるラタムを指差した後、リズたちに説明をうながした。
「えーと、私たちの後ろにいるのはサイネリアが探してたラタムだよ。」
「よろしく頼むぞ。」
チェスたちはびっくりすることもなく、ラタムと普通に挨拶をした後、チェスがおもむろに話し始めた。
「まず俺たちが調べたことから話すぞ。俺たちは他の広場でやっていたイベントで現在の天界の状況について知ったんだが、どうやらメリアたちの中にも派閥らしきものがあるみたいだ。」
「派閥?一体どんな?」
「メリアたちの中にも、俺たち人間との戦争をしたくない奴もいるみたいだ。」
チェスは広場での講演で聞いたことを噛み砕いて説明した。
どうやら戦争賛成派と反対派がいるらしく、メリアたち全員が戦争に好意的ではないらしい。
賛成派の意見としては、人間は散々威張ってきて、地球を独占しようとしてるから滅ぼすべき。
逆に反対派の意見は、人間は散々酷いことをしたけど、人類全員が酷いことをしたわけではないから戦争はやめるべき。
ちなみにメリアの女王の意見は賛成派でも反対派でもないみたいだな。
「うーん……メリアたち全員が戦い賛成派じゃなくてよかったけど、このまま状況が悪化したら女王が賛成派になっちゃうかもしれないね。」
リズの言ったことは的を射ていた。
女王はどちらにも属していないが、今後の人間の動き次第では賛成派にも反対派にもなりうることが出来る。
どうにかして状況を改善しなければ、人類滅亡待った無しだ。
「どうやら残された時間は少ないようじゃな。」
リズたちが悩んでいると、ラタムが口を開いた。
「まぁ、それは置いておくとして。パーム、童等に汝の事を話さんのか?」
「パム!こんな人がいつ通るかわからない場所で話せるか!」
とにかく場所を変えたいと言ったパームに、ラタムがいい場所をしてると言ったので、一同はラタムについていった。
ーーー
ラタムに連れてこられた場所は、メリアたちの住んでいるところから少し離れた場所だった。
そこに家が一軒、この家はラタムの家らしい。
「さあ、心置きなく話すと良い。」
「チェス、レオ、実はパムは………」
パームは自身のことを話した。
チェスとレオは流石にびっくりしたようで、レオは頭を抱え、チェスは混乱していた。
「私たちも話された時はびっくりしたよね。」
「地に書くこのことは置いておくとして、どうする?神獣が全員集まっていないし、他の奴らがどこにいるかもわからない。」
レオが真剣な顔で言った。
「妾が他と連絡を取ってやろうか?」
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