第15話  今後のために



[翌日]



リズが目を覚ました時にはすでにみんな起きていて、話し合いをしていた。



「王都までのマップをもらわないとな。」



チェスがそう言った。



「シェリアさん王都までのマップ持ってるのかな?」



ソレイユが少し不安そうに言った。



「多分持ってると思うよ?まぁ、最悪持ってなかったら道を教えてもらえば大丈夫だよ


………多分…。」



オスマンがそう言った。




オスマン…最後に行った言葉思いっきり聞こえてるよ…。



リズは、オスマンが最後に言ったことに苦笑いをしていると



「おや?みんなもう起きてるんだね。」



シェリアが部屋に入ってきた。




まぁ朝の7時だし…このくらいの時間に起きてるのは普通なんじゃないかな?




と、リズは思っていた。



「シェリアさん、王都までのマップって持ってますか?」



チェスがそう聞く。



「あぁ、マップなら持ってるよ。


そりゃあたしだってマップくらい持ってるさ。」



ちょっと拗ねたようにシェリアが言った。


オスマンとソレイユは心の中で


『あらら、拗ねさせちゃった。』


『ちょっと聞き方が悪かったのかな?』


なんて思っていた。



シェリアを拗ねさせた張本人はというと



「あぁ!別にバカにしたとかそういうわけじゃ!」



あたふたしていた。



それを見たシェリアは笑いながら



「あっはっは!冗談さ!ちょっとからかっただけ!」



と言っていた。



対するチェスは……いじけていた。


こんなチェスを、リズは見たことがなかったのでちょっと笑っていた。



「まぁ冗談はさておいて、レオ君は多分今日中には起きるはずだよ。


さて!薬の作り方を教えるよ。」



4人はシェリアについていった




ーーー




ついていった先では、湿布の匂いや、それと似たような匂いが充満していた。




「さて、まずは材料から〜。」




リズたちは薬の調合の仕方や、何と何を混ぜ合わせると良いかなどを教わった。


教わっている途中でレオが目覚めてきて、チェスが駆け寄って、『心配させんな。』


と、嬉しそうな顔押しながらいっていた。




「しばらくの間はこれを朝と夕方に飲んでね。


もし1週間以内に体に不調が出たら昼にも飲むんだよ。」




レオは薬を貰い、チェスはマップを貰った。




その晩




「なるほど、明日王都へ行くわけだな?」




レオに明日のことを話し、昨日話し合った内容のことも含めて今後の作戦会議をすることになった。




「そうそう、一応私の魔法で人間社会が今どうなってるか調べたんだけど…。」




唐突にソレイユが話し始めた。




「まって、僕の記憶が正しければソレイユの属性は草だよね?どうやって調べたの?」




そう、ソレイユの属性のうちの1つは草属性だ。


人間は最低でも2属性持っているが、あともう一つの属性が精神の属性でなければわかるはずがないのだ。




「えぇ、私の属性は草と治癒だけど…森や街に咲いているお花たちから噂を聞いたの、その中には精霊が運んできてくれたものもあったからより多くの情報が得られたの。」




リズは驚いた。


草属性の魔法にはそんなことができるのかと。


それと同時に自分だけが属性をわかっていないことに少し寂しさを覚えた。




「パーム、私の属性って何かわかる?」


「うん!わかるよ!リズの属性は土と光だよ。」




パームから属性を教えてもらったリズは、パームの頭を撫でながらありがとうと言い、


今後練習に付き合って欲しいと言った。




パームからの返事は『もちろん!』とのことだった。




「でもソレイユはいつそんなことを覚えたの?」




オスマンがソレイユに聞いた。




「ショコラに教えてもらったの。


ちょっとでもみんなの役に立ちたくて。」




ショコラとは彼女の相棒のオプティルトだ。


種族はペンギン。




どうやら彼女が言うに、オプティルトは私たちが知らないことを教えてくれるらしい。




ソレイユとレオ以外の3人は、それぞれ自分のオプティルトにそれは本当か?


どんなことを教えてくれるのかと聞いていた。




オスマンならフクロウのソーダに、チェスなら子ドラゴンのキキに。




「パームも教えてくれるの?」


「もちろんパム!君にはパムからのお願いを叶えてもらわないとだしね。」




パームとリズはこの世界を在るべき形に戻すという約束をしたのだ。




「パムが教えてあげられることは3つ!


1つ!魔法


2つ!今この世界がどうなっているか。


3つ!パムの正体。」




その後もパームに色々聞いた。


パームの正体に関しては、オルムの世界を出た後、きて欲しいところがあるらしい。


そこについてからみんなに話すんだとか…。




みんなは自分のオプティルトから教えてもらえることを聞いて、話し合った末


万が一の時のために、各自で魔法の練習をしておくことになった。




私は浮かび上がる疑問と、嫌な予感を振り払うようにして眠りについた。






[翌日]




リズたちは目を覚ますと必要最低限のものを持ち、シェリアにお世話になったお礼を言った。



そして王都へ向かっていった。




「それにしても、まさか今の人間社会があんなことになってるとは……。」




レオがそう言った。




昨日の話し合いで、ソレイユが調べた人間社会の現状を聞いたのだが………




今の人間社会では学生ですら戦力として使われているらしく、私たちがいた頃のような楽しい生活ではなく、本格的に戦争の準備をしているらしい。




その話を聞いた時のリズは、もし計画通りの時期に脱出しようとしていたら逃げ出すことは不可能だったのかもしれないと思った。




「そろそろゆっくりしていられないわね…。」




ソレイユがそう言った時のリズたちは、とても真剣な顔になっていた。





ーーー




シェリアたちの住んでいた街は王都に近かったので、日が暮れる前についた。




「ここが王都か、思っていた通りだな。」



「そうか?小生のイメージとは違うが…。」




チェスとレオがそう言った。




王都はたくさんの店が並んでいて、活気にあふれていた。



王都の中ではオルムたちの楽しそうな声や、自分の店について宣伝する声が聞こえてきた。




「とっても楽しそう!」



「えぇ、とても幸せそうな声が聞こえてきて、なんだかこっちまで楽しくなってきそう!」




リズとソレイユがそう言った。




「きっとオルムたちの王様がいい人なんだと思うよ。」




オスマンが言った。




5人は城の方まで歩いていった。




ーーー




城の前まで来ると、門番らしき兵士に止められた。




「ここから先は王がいます。しっかりとした理由がない限り入れることはできません。」



「王様に伝えたいことがあるのです。王様に合わせてください。」




レオが門番の兵に言った。




「わかりました、ですが不審な動きがないか確認するために見張りの兵をつけます。」




そう言うと門番の兵はインカムらしきもので他の兵と連絡を取っていた。




「至急見張りの兵を二人ほど門に向かわせてくれ。あぁ、至急だ。」




門番の兵は連絡を取り終わるとこちらを向いて




「見張りの兵が来るまでしばらくお待ちください。」




ーーー




しばらくすると見張りの兵士が二人来て、そのうちの一人が王様の前まで案内した。




「ここが王の前です。」




<コンコン、ガチャ>




「陛下、あなたと話をしたいと言う客人を連れてまいりました。」



「あぁ、ありがとう。」




王様の前まで案内してくれた兵士は、リズたちの後ろに戻った。




「王様、私たちはあなたに協力して欲しくてここへ来ました。」




リズが王にそう言った。




「ほぅ、続けて?」




王は興味を持ったように言った。




「僕たちは人間の政府が、他の種族と戦争を起こそうとしていることを知りました。」




オスマンが続けてこう言った。




「僕たちはそんなことをするのは間違ってると思いました。



僕たちは意味のない争いを止めるために、他の種族の人たちにその手伝いをしていただきたいのです。」




オスマンが話終わった後、王は立ち上がり、窓から城下町を見ながらこう言った。




「君達はこの城下町を見てどう思った?」




王は質問をした。




「とても活気に溢れていて、国民の皆さんはとても幸せそうに見えました。」




ソレイユがそう言った。




「そうか。」




王は嬉しそうな声色でそう言った。




「私は誰からもそう思えるような幸せな国を作ることを目的としていた。」




王はこちらを向いて、続けてこう言った。




「国民がいつまでも幸せでいてほしい……。」




王は少し考える素振りを見せ、こう言った。




「君達のやりたいことに協力しましょう。



戦争が起きたら国民にも悲しみが広がってしまう……それを止めるためにも、君達にできる限りの支援をしましょう。」




王はにっこりと微笑んでそう言った。




その言葉を聞いた5人はとても喜んで、飛び跳ねて喜んだり、顔に安堵の色が見えたりした。




「今日は疲れたでしょう。



部屋と食事を用意させておきます。ゆっくりと休んでください。」




王はそう言い、見張りの兵士達にリズたちを案内させた。




その晩、リズたちは作戦会議をし、今後うまくいくことを願いながら各自自分そやりたいことをしていた。



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