第7話  チェスの友達

[魔法研究室到着]


「あ、リズさん。」

「オスマン!あれ、他の二人は?」

「それがまだ来てないみたいなんです。やっぱりリズさんは犬のオプティルトと契約したんですね。」



「うん!紹介するよ、今日から私の相棒になるオプティルトのパーム。」

「よろしくパム。」


パームはみんなに挨拶をした。


「オスマンはどの子にしたの?」

「僕はフクロウにしました。名前はソーダです。」

「よろしく。」



ソーダと名付けられたフクロウはとても賢そうで、落ち着きがあり冷静な性格だった。



「チェスとソレイユのオプティルトも気になるね〜。」

「イメージとは真逆のオプティルトを連れてくるかもしれませんね。」


チェスはドラゴンとか連れてきそうだな〜



[チェストミール、ソレイユ到着]



「まさか本当にドラゴンと契約してくるとは…。」



リズが予想した通り、チェスは本当にドラゴンを連れてきた。

と言っても、子供のドラゴンなのだが。



「あっはっは!俺がドラゴン連れてきたときのリズの驚いた顔!おもしれー!」



チェスはゲラゲラと笑っている。



「ソレイユはペンギンと契約したんですね。」

「えぇ、この子、ショコラがとっても可愛らしかったからつい。」

「ソレイユらしいですね。」



チェスとリズが『そんな笑うなー!』などと会話をしている一方、

こちらはほんわかした空気になっていた。



<1年生の皆さんはオプティルトと契約した人から帰宅してください。なお、特別室から出る際、余計なものに触らないでください。>



「全員集まったことだし、今後のことについて話し合おうぜ。」

「おっけー、でもどこでする?」

「外でそんな話をしてたら、大人の人に見つかってしまうわ。」



そう、この話し合いは信頼できる人以外に聞かれてしまってはまずいのだ。



「誰かの家でもいいですけど…、大人の方がいると思う存分話し合えませんし……。」

「じゃあ俺の家に来いよ。」



そう言ったチェスに、みんなはついていった。



「そういえば、チェスって家出して友達の家にいたよね?大丈夫なの?」

「大丈夫だ、あいつは今の人間政府を嫌っているからな。」



どんな友達なんだ…



「それなら大丈夫ですかね。」

「よし!そうと決まれば行くぞ!」

「「「おっけー/えぇ/はい。」」」



チェスの友達がどんな人か、チェスの住んでいる家に着くまでリズは考えていた。



[チェス家到着]



「ただいまー。」

「「「お邪魔します。」」」

「ん?チェストの友達か?」



リズは、片目を髪の毛で隠した少年が出てきて少しびっくりした。



「あぁ、紹介するよ、こいつは俺の親友のレオ・グラーニン。」

「チェストの友達のレオだ。というか!小生人を好まないと君に行ったよな!?」



「大丈夫大丈夫!今日連れてきたのはお前の大丈夫な類の人だから!」



しょ、小生?そんな一人称初めて聞いた…



「あぁ、こいつちょっと変わったやつだから、一人称も変なんだけど気にしないでやってくれ。」

「変人とでも言いたいのか!あと大丈夫な類とはなんだ!」

「お前の秘密を知っても受け入れてくれるような人達だぞ!大丈夫だ!」



「はぁ…君がそういうなら大丈夫なんだろう。」

「あ、一応お前にも行っとくけど、俺たち人間世界から逃げ出そうとしてんだ。できればレオにも協力してもらいたい。」



「それは協力するが、それなら小生の秘密も知ってもらわないとダメだな。」

「ぐちぐち話し合ってないで家に入れてくれパム!」



唐突にパームが大声を上げてレオに言った。



「こら!パーム!」

「いや、そこのこの言う通りだ、とりあえず中に入ってくれ。」



4人はレオの家の中に入っていった。



ーーー



[リビングにて]



「んじゃ、会議はじめますか。」


「とりあえず魔法は手に入れたけど…まだ魔法の使い方もわからないし…。」


「少なくとも半年ぐらいはかかりそうだね。」


「魔法を使えるようになるのも重要ですが、そもそもここから脱出するためのルートを確保しないとですよ。」



脱出ルート…本当に逃げることはできるのかな?



「それについてはレオが詳しいから、レオに用意してもらいたい。」


「脱出ルート確保だな?何通りかあるが、危険でも最短でいけるルートか、安全でも長くかかるルート、どっちがいいかによるな。まぁ…そもそも君たちの手助けをするかはわからないがな。」



なんでそこまで私たちを嫌うんだろう?



「次に食料とかの問題もあるが…何かいい案が思いついたやついるか?」


「食料なら私に任せて!いい植物を知ってるの。」


「よし、そのほかにも必要なものはあるが、まぁ今は良いだろう。」


「じゃあ、小生の秘密を話すか…。」



どんな秘密なんだろう?



「君たちはミスリルという種族を知っているかい?」


「はい、一応読んだことならありますが…ミスリルは未だ情報が少なく、見つかってしまえば即実験材料にされてしまうかもされないらしいですが…。」



「小生がそのミスリルだ、我々、ミスリルには生まれた時から魔法が使える、そしてオプティルトとの契約もいらないし、普通に過ごしていれば人間と全く変わらない。」



「ですが魔法生物学の論文で、ミスリルは人間とオプティルトのハーフのため、耳や尻尾があると書いてありますが…。」



あれ?でもレオには耳も尻尾も無いけど…



「その通り、我々は耳や尻尾があるが、普段は隠している。ただし、感情が急変すると隠していた耳や尻尾が出てきてしまうんだ。だからまともに学校も通えないのさ。」



「どうだ?これを知って小生を研究者に売るか?はは、売ったらさぞ良い値段になるだろうな。」



そんな辛いことがあっただなんて…



捕まえて売るのかと聞いているレオは、ただで捕まる気はなさそうだ。



「……売ったりなんてしないよ!だってあなたはチェスの友達で、今日から私たちの友達になる人!それに、いくらミスリルのことを知るためでも研究材料になんてしちゃダメだよ!」



「「その通りよ!/その通りです。」」


「さすがリズ。お前んらそういうと思ってたぜ。」



「…クク、ははは!気に入ったよ!どうやら人間は腐った奴ばかりじゃ無いようだ!」


「!協力、して、くれるの?」



「あぁ、君たちに協力しよう。それに、リズって言うんだっけ?君のオプティルトは普通のオプティルトでは無いようだしな。」


「よろしく!」


「よろしくね。」


「よろしくお願いします。」




「パム。」




レオとも友達になれてよかった!少しでも仲間が増えてくれて、脱出の時に心強くなりそう!





「チェスト。」


「あ?」


「君は良い友達を見つけたようだね。小生の家に駆け込んできた時とは大違いだよ。」


「……そうかもな。」


「いつか君にも、君の中に抱えているものを話せるようになる、そんな時が来ると良いね。」


「あぁ、いつか来るのかもしれないな。」



チェストが何を思っているか…それは本人にしか分からない。

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