第5話 お母さんと世界の現状
[家到着]
「おかえりなさい、リズ。」
「お母さん!」
彼女は私のお母さんのエレン・アルフォード、高校生時代に3年間成績トップを取ってたから大学に支援金で入ったらしい。
今となっては政府公認魔法薬剤師なんだ。
ただ、近頃戦争が起こりそうだからか帰ってくることが少なくなってしまったの、お母さん自体はこの仕事に不満があるらしい。
[ダイニングにて]
「お母さん帰ってきて大丈夫だったの?最近、魔法戦士が怪我をすることが多くなったって前言ってたけど…。」
「あぁ、リズにまでそんな心配させてしまうだなんて…ごめんなさいね、なかなか帰ってこれなくて、こんなんじゃお母さん失格だし…嫌われても仕方ないのだけれどそろそろ争いが起こってしまうかもしれないのよ、私としてはこんな仕事辞めてリズと一緒にいたいわ。」
「しょうがないよ、お父さんもいないんだし…。」
そう、私にはお父さんがいない…お父さんは私の物心がつく前に出てってしまったらしい。
だからお母さんは仕事を辞めるに辞めれないのは仕方のないことだと割り切ってる。
「そうそう、リズに言いたいことがあるの。」
「なに?」
「あなたが何の学科に入ろうと私は否定はしないのだけれども、学校で一定の成績をキープしていると大学への支援金が出されるのだけれど…もしそうなった場合、それを断って欲しいの。」
「え?何言ってるの?だってそれを受けた方が少しは休みが増えるでしょ?」
「話を最後まで聞いてちょうだい。ただ、その支援金を出す上で条件があるのよ。その条件が大学卒業後に政府公認の役員にならないといけないのよ。」
「政府役員になると、魔法戦士だったら最前線に出ないといけないし、科学開発学科は戦争で使う兵器を作らないといけないの。そんな風になって欲しくないの。リズには自分の好きなように生きて欲しいから、将来を縛られて欲しくないの。」
戦争に加担しないといけない…そんなことはしたく無いし、お母さんにも悲しんで欲しく無いな…
「…わかった。もしもそうなったら断るよ。私、お母さんには笑顔でいて欲しいもの!」「ありがとうリズ!それを聞いて安心したわ!」
「久しぶりに帰ってきたんだしゆっくりしてて。私が夕飯作るよ!」
「ふふ、どんな料理が出てくるやら。」
「これでもお母さんがいない間はチェスに料理教えてもらってたんだからね!」
「あら、それなら一安心ね。」
「もう…あんまりからかわないでよね!」
「そんなこと言わないで、これも愛情からきてるものなのよ?」
「わかってるもん…。」
「あらあら、素直でよろしい。」
「めっちゃ美味しい料理作ってあっと言わせてやる!」
「楽しみね〜。」
その晩、私が作った料理を振舞って、お母さんと一緒にたわいもない話をしながら過ごした。
ーーー
[翌日]
「おはよー!」
「おはよー、なんかテンション高くね?」
「確かに、リズ何かいいことあったの?」
「僕も気になりますね〜。」
そんなにテンション高いのかな?でもお母さんが帰ってきたことがとっても嬉しかったからだろうな
「実はお母さんが帰ってきたの!」
「よかったじゃん!」
「それはよかったですね。そういえば今日は政府から魔法戦士が来るそうですよ。」
「わざわざ魔法戦士が学校に来るの?どうしてかしら…。」
「んー、私もわかんない。」
「まぁ、その時になったらわかるだろ。」
[4時間目授業終了]
<生徒の皆さんは校庭に当てまってください。>
「校庭?そんなに大掛かりなことするんですかね…」
「俺に言われてもわかんねー…ただよっぽどのことがない限りわざわざ政府役員が来るはずがないからな…」「なんだろうね。」
何か悲しいことが起こらないといいけど…
[校庭移動後]
「ローズベルト学園の生徒のみなさん。私は政府公認魔法戦士のシェルです。多分みなさん驚いていることでしょう。私が本日話すことは…最近シャールク(魔物)との関係がさらに悪くなってきていて近々戦争が起こる可能性が高いのです。」
「そこで我々政府が考えた政策はみなさんの中で一定の成績をキープしたものに大学への支援金を出しますので、将来政府のために働いて欲しいのです。」
お母さんの言っていた通りだ…
「そして政府での会議で決まったことが一つあります。我々人間が種族を管理するべきだと判断したので、シャールクを滅ぼし、我々人間が所属の王となるのです!」
みんな平等であるべきなのに…
「みなさん学業に励んで、ぜひ政府役員へ仲間入りしてください。私からは以上です。」
[政府役員からの説明後、クラスへ戻る途中]
「戦争が起こるだなんて…まるで想像がつきません…」
「オスマンがそう思うのも仕方ないだろ、だって日常はとても平和で…戦争なんで微量も感じないんだからな。」
「これからどうなってしまうんでしょう?」
「わかんない…」
「わかることがあるとすれば、俺たちの中で優秀な奴が現れたと仮定して、もし大学への支援金の話を受け入れたら…政府のコマになるってことだな。」
「それにさっきのやつの話だと、人間以外の種族を下に見ているようだし…最悪人間以外の種族を根絶やしにするかもしれないな。」
「そんな!人間がえらいだなんて誰も言ってないし、そもそも言ってる人がいたとしてもその人が間違ってるだけなのに!」
「きっと政府の奴らは頭のネジが外れちまったんだろう、それか本来持っていないといけない感情がないか。」
「まさかお母さんが言っていたことがここまでひどいだなんて…」
「そういえば、リズのお母さんって政府公認魔法薬剤師だったよな?」
「うん…お母さんが昨日言ってたんだ、近々起こる戦争のために優秀な人を集めてるって。」
「僕たちは国のトップに従う以外に道がないのかもしれませんね…」
「でも!国から逃げることならできるわ!」
「どうやって?僕たちはまだオプティルトとの契約もしていないのに?」
「…じゃあ今はどうしようもないの?」
「仕方がありません。せめて2年に上がる頃…僕たちが契約をすませた頃でないと無理でしょう。」
この時、4人は不安な気持ちを抱えていた。この後どんな運命が待ち受けているかは誰も知らない。
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