第77話 修復

「まずジャスミンがルクレール家で雇う事になった経緯から話そう・・・・・」




セバスチャンは近い将来、リン王女殿下と婚姻するのが既定路線である事を告げ第一弾として王妃様からの覚えが良い王妃宮筆頭侍女のジャスミンをセバスチャン邸の使用人として寄越したのだと。幾らうちが公爵家でも望めない人材であり、リン王女の将来の為に王城とのパイプ役でもある。そして嫁いで来たらセバスチャンの母上の様に自分の筆頭侍女と数名の侍女を連れて来る事も話す。その時に今のままのダイジンでは使えないとなり他の者がセバスチャン邸の家令になる事になると話すとより一層表情が険しくなるダイジンにセバスチャンは「今、事実を伝えたのだぞダイジン。何故焦る、何故フットマン達に当たり散らかす、何故領地のような仕事が出来ない、それは私の所為だ。ダイジン、お前にしかるべき対応をしなかった私の能力の無さがお前の心を荒ませたのだ。私も独立した貴族としてすべき事を覚えていくので一緒にやり直そうダイジン・・・・・」



ダイジンも話し出す「セバスチャン様の話で理由が分かりましたが何故セバスチャン様は一使用人である私にそこまでの話しをされるのですか?ターシャ様から私の不備を聞いた時点で降格や移動、お暇を与えるでも良かったはずです」


ダイジンが自分自身を無能みたいに話すのがセバスチャンは気に入らなかった。叱るの事は必要だと分かっているがダイジンの様な性格の人間を叱るだけで終わらせると歪んだまま生きて行くと思っているので言葉を考え探すが見つからず苦悩する。その姿をみてダイジンはセバスチャンに「何を悩まれているのですか?私には理解出来ませんセバスチャン様。話しはこれで終わりでいいのではないでしょうか?」



その言葉にセバスチャンは頭にくる「ダイジン!何故そんなに投げやりにならなければ行けないのだ!一度や二度の失敗でクヨクヨするな!失敗から反省してやり直せば良いのだよ!私も愚か者だから沢山の失敗をしている。今日も一つの失敗に気付かされやり直し始めたばかりだ!お前がターシャの後の家令になりたいのはルクレールの家の者なら全員知っている。そんなお前を皆、評価しているのだぞ。何度でも言う、一緒にやり直そうダイジン!」セバスチャンは周りの事を考えず大きな声で怒鳴っていた。ハッキリとダイジンに向かって言ったのでダイジンの表情は大きく崩れ瞳からは涙が零れていた



「ダイジン、お互いに何度でも失敗しようではないか。度々すぎるのは駄目だがたまには失敗も必要だ。それと私は今から父上に叱られてくるよ。今のは紳士として戴けない行為だからね。では落ち着くまで此処にいるんだ。そんな表情で屋敷の中を歩かれたら皆の笑い者になって心配されるからな。では行って来る」



ハンカチで目尻を抑えているダイジンに伝えセバスチャンはルイスの執務室に向かう




父上、セバスチャンです


「入れ」



執務室に入りルイスの前に立つとルイスから「漸く動いたか。あと少し遅かったら私からお前に喝を入れる所だセバスチャン。お前は人が良すぎるのに人任せにし過ぎているのは私から言わせれば悪い癖だと思うぞ。線引きをしっかり決めておかないと今回の様な事になるのだ、分かったな」



「はい父上」



セバスチャンはルイスに色々質問をして自身を納得させようとして最後にルイスから

「近い内に一度公爵領に行ってモトコに指導を受けて来い」




「・・・・・仕方ない身から出た錆だ」

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