第72話 久しぶりに教会へ

芦毛の馬、フューチャーシップは王妃様所有になる事が正式に決定した。王城に戻り全員で陛下に面会し事の経緯いきさつを話すとやはり蚊帳の外にされたとぼやくのであった


そしてルクレール家で購入を決めた二頭の雌馬を除く七頭の馬を貴族に所有の応募を書簡で案内する事になった。購入金額はバルト、エイダン、セバスチャンの三名で

決定する事になる。三人の話し合いの結果、最高価格は金貨九万枚、最低価格は金貨三万枚となった。この金額は購入してきたエイダンが帝国での競走成績を纏め上げた書類とセバスチャンが乗った感想で優劣を付けて最終的にバルトが金額を設定した。その為、馬はルクレール家で購入分の二頭以外を王家が全て購入する事になり

フューチャーシップの代金は本当に王妃様の私費で支払われた。そして王妃様はフューチャーシップを競馬に参加させて勝利しても栄誉だけで褒賞は全て辞退するとサインを行い管理費は国から出ている王族の方にある費用で支払い今まで使っていた服飾費や交際費を三分の一まで減らしてまで所有したいと陛下に自分の意思を伝えた。国は民の為と言う言葉が貴族全体に浸透しているキングダム王国の頂点に立つ

王族が馬を所有する為に色々な所で動いて今回は貴族にだけ所有の案内を行ったが将来的には商人等の貴族以外の人々にも競馬の参加を進めて行く事で今回の件は終了した



次の日、セバスチャンは何時もの時間に第三厩舎に向かい一緒に放牧作業を行いロワイヤルの仕事ぶりを見ていた。配属されて三週間経つが仕事ぶりは中々の物でアイゼンからの報告も併せそろそろ第三厩舎全体を任せてもいいと思ったりしていた

。但し時折、暴走するらしいので引き留め役が必要らしいがまだその場面に出くわして無いので確認してからの引継ぎと思いながら巡回に行く




巡回が終わりロワイヤルの報告書類を作成した後、アーサーの元に向かい書類を提出するとアーサーから「昨日は大変だったな」「はい・・・・・私が早まったばかりに」お互いに察したのでそれ以上は言わずにロワイヤルの目途が付くので今後の人事を相談するのであった



近衛騎士団執務室から戻る最中に乗馬服姿のリン様と出会いリン様から「昨日、母上が興奮して凄かったわ。そんなに凄い馬なのフューチャーシップは」

「ええリン様、あの馬は必ずこの国の競馬の歴史を変える馬になります。今日から

馬車用の馬の厩舎を建設が始まりましたので出来次第入れ替え作業を行い第三厩舎で管理する事になっております」


「まだ見れるのは先の話ねセバスチャン」


「大丈夫ですよリン様。二~三日内にイルメス馬具商会から一頭ずつ乗って来て坂路コースを走らせますのでその時にご覧になって下さい。当然王妃様もご一緒になりますが」


「ありがとうセバスチャン。今からプリンセスリンに乗りたいのだけど良いかしら」


「どうぞリン様。私は責任者としてスタッフの作業を見守りますので準備は出来ませんが」


「当然ですセバスチャン。使用人の仕事を奪う主は愚か者です。見本になる位なら良くても全てを行うのは人を駄目にします」


王族としての教育を受けているので出て来る言葉だろうが堂々とした立ち振る舞いが出来るリンを見て「将来尻に敷かれるな」と思いながら厩舎に戻る



厩舎に戻りプリンセスリンの乗馬装備作業を行うロワイヤルの仕事ぶりを見届けリンを見送るとセバスチャンはイルメス馬具商会宛てに馬達の能力試験を行うので二~三日かけて王城と商会を往復する事を書簡にする


リン様が戻られ話しを伺い王女宮まで同行後、第三厩舎スタッフにイルメス馬具商会に向かいそのまま屋敷に帰る事を伝え王城を後にする。イルメス馬具商会に寄り

書簡をエイダンに渡すように番頭に伝えセバスチャンは人参を一袋購入して教会に向かう



「ご無沙汰していますシスターナナイ」


「お久しぶりですセバスチャン様。この度は男爵に昇格されたと伺いましたが」


「ありがとうございます。若輩者ですが今後もよろしくお願いいたします」



挨拶を終えると礼拝堂に向かい祈りを捧げる



「久しぶりだなセバスチャン」



人馬神ダーレー様と繋がった


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