第61話 ジャスミンとの面談

ジャスミンがセバスチャンの使用人として仕え始めて三日目、午前中で仕事が終わったセバスチャンは改修中の屋敷に向かい作業者達を労い果実水やジョエルが作った軽食を配り親交を深める。現場監督のハーネスと細かいやり取りを終え本邸に戻るとターシャがジャスミンと話しをしながら指導をしているので声を掛ける


「ターシャ、ご苦労さん。ジャスミンの手は空くかな?」


「大丈夫ですセバスチャン様。区切り良く説明が終わった所です」


ターシャは説明するとセバスチャンは「ジャスミンは私の執務室に紅茶を準備して来てくれるかな。カップは二つ用意してね」


「畏まりましたセバスチャン様」


二人は一礼して使用人の通用口から屋敷に戻る。それを見ながらセバスチャンは「ジャスミンの本音が聞けると嬉しいけど指導されているから中々聞けないだろうけど・・・・・」

呟きながらセバスチャンも屋敷内に戻る


(仮)執務室に入ると直ぐにノックがありセバスチャンは「どうぞ」と返事をしてジャスミンが入室してくる。「セバスチャン様、紅茶の準備が出来ていますが直ぐに飲まれますか?」「ああ頂こうかな。注ぎ終わったらその椅子に掛けて」とジヤスミンに伝えると執務室のテーブルに二つのソーサーとカップを置き、ポットからカップにお湯を注ぎ終えた後に茶葉の入ったポットにお湯を注ぎ終えると紅茶の入ったポットに布で出来たウォーマーを被せ砂時計を引っくり返し時間を計る。


ジャスミンは一通りの作業を終えると立ったままでセバスチャンに「今日は何用でしょうかセバスチャン様」

「ああ、今日で三日目になるけど最初に簡単な挨拶をしただけで話しらしい話しをしていないのとこれは私個人の面談と思って欲しい」

「畏まりました」の返事と同時に砂時計の砂が落ち切ったのでジャスミンは「少々お待ちください。お茶を入れますので」と一旦話しを切る。そしてカップのお湯をポットに戻してウォーマーを外した紅茶ポットから紅茶を注ぎセバスチャンの席にセットしてジャスミンの分は手に持ち勧められていた椅子に座る


「では改めて話しをしましょうジャスミン。結婚が理由で王妃様からお暇を貰ったと伺っているけど結婚しても本当なら王妃宮に勤めるはずがリン様が近い将来に私に嫁いでくる事が決定的なので筆頭侍女の貴女にセバスチャン邸の内部掌握を王妃様から指示を受けているのでは無いでしょうかジャスミン?」


ジャスミンは表情を変えず間を開けてから「全部は話せませんが確かに王妃様から指示を受けてルクレール家に来ています。これからはルクレール家の一使用人として仕えて行きますのでその点はお間違えない様にお願い致しますセバスチャン様」


「分かったジャスミン。私も余計な考えを持たず貴女を一使用人として扱っていきますので改めて宜しくお願いしますね。それと一言ジャスミン、貴女はダイジンと全く気が合わないよね。お互い性格が違うのもあるのだろうけど反対にダイジンも同じ様に合わないと考えているはずだから衝突するだろうけど少しずつ歩み寄ってくれると嬉しいかな」


「ありがとうございますセバスチャン様。この三日間、ほぼ接点が無かったはずなのによく人を見られていますようで今後もお仕えするのが楽しみです」


少し柔らかい表情になって返事をするジャスミンを見て「これなら大丈夫かな」と思いながら紅茶を飲み話しを続けて行くのであった

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る