第51話 閑話その⑤厩舎のアイドル

「ニャ~」


セバスチャンが執務室の机で書類作業を行っていると一匹の猫がセバスチャンの脚にすり寄って来た。


この猫の名前はアミィ。代々厩舎にはネズミ退治用に猫を飼っている事が多くアミィもネズミ捕りの為にミアンが第三厩舎に連れて来たサバトラの雌猫であった。

ミアンの家は宿屋を経営しており馬小屋があるので昔から猫を飼っており親離れを

したアミィを厩舎に連れて来たのだ。


「セバスチャン様、猫がいればネズミの被害が少なくなりますから厩舎に置いて下さい。餌は一日一回で大丈夫ですので後は水飲み場とトイレの場所を躾けたら勝手に動くので手が掛かるのは最初だけですよ。連れて来たので躾けは私がしますので猫の名前を考えて下さい」



ミアンに言われセバスチャンは猫の名前を考えるが思い浮かばなくて思案していたらリン様が馬乗りに来られたので準備を行っているとリン様が「お前の名前はアミィだ!分かったか?」と勝手に名前を付けてアミィと名付けた猫と遊びだした。


「リン様、準備が出来ました」

「少し待っておれ。アミィは可愛いくて堪らないの!」


アミィは最初こそ遊んでくれるリンにくっついていたが余りにもスキンシップが激しくてプリンセスリンの馬房に逃げ込んだので「やりすぎると猫に嫌われますよ」

とセバスチャンが伝えると少ししょんぼりしてリン様は馬に乗り出掛けていかれた


プリンセスリンの馬房に逃げ込んだアミィを探しに行くとアミィは馬房の隅で怯えて

いたのでセバスチャンはアミィの頭より低い位置に手を出し様子を見るとアミィは警戒していたが徐々に落ち着いてきてセバスチャンの手に頭を擦り付けて来たので頭や顎を撫でたりした後に抱きかかえ馬房から連れ出す


「ここは馬の部屋だから注意しないと踏み潰されるからな。分かったかいアミィ?」とセバスチャンは語り掛けながらアミィをミアンに渡し名前を伝える


「この猫の名前はアミィだ。先程リン王女殿下が来られた時に勝手に名前を付けて行かれた。この猫もアミィで反応するのでよろしく頼むよ」と伝えるとミアンは

「じゃ餌場とトイレを教えようかね。いくよアミィ」



それからアミィは餌場とトイレを覚えた後は手が掛からず一日一回の餌と飲み水を忘れなければ日中は日向で日光浴をして夜になるとネズミを捕まえて朝、厩舎に来るとたまに執務室の入口に捕まえたネズミを置いている事があった


アミィが厩舎に来てから思わぬ副産物が生まれた。アミィは時折厩舎内をパトロールしていて馬房にいる馬の傍に行くと馬達が大人しくなり仲が良い馬は膝を折り馬房内で寝てアミィを同じ目線になるのである。馬は臆病な生き物なので知らない者が来ると警戒して時には暴れたりするがアミィが来てからは癖の強い馬の気性が少し落ち着いてきたのでセバスチャンはビックリしたのでミアンに聞くと「うちは宿屋なのでそんな事は無いですね」とミアンも不思議がっていた




今日も第三厩舎所属猫アミィは日向で日向ぼっこをしている



_____________________________________


これで閑話終了です。次回から新章に突入です

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る