第50話 閑話その④プリンセスリン

「よく頑張ったなリン」



セバスチャンは皆が帰った厩舎に一人残り相棒であり今回の勝ち馬であるプリンセスリンに人参を与えながら語り掛けていた。



プリンセスリンはリン王女殿下が成人した時に国王陛下より送られた青鹿毛の馬で

当時二歳で身体が同じ二歳でも小さな方だったが四歳になり馬体が良くなりその上、坂路コースで調教を行う様になってから人間で例えるとアスリートみたいな馬体になり今回の競馬で優勝することが出来た。潜在能力は高かったが馬体が付いて

来れずにいたのを年齢を重ね馬体が出来たのが今回の勝因だと思う。これが一年前

だと調教に馬体が付いてこれずにいたと思うと安心するのであった



そして非常に賢く無駄な運動はしたがらない、飼い葉や水も余分に取らないと知性は人間並みなのかと言いたくなる位でもしかして自分を人間と思っているのかも知れないとリン王女殿下とのやり取りを見ていると思わせる。そして厩舎のリーダーなので馬房から出すのは一番でないと機嫌が悪くなり最悪暴れだす事もあり放牧地に出ると他の二十一頭はプリンセスリンの後に付いて歩く。厩舎で一番脚が速いのもあり格付けが出来ている



「第二段階に移行したらプリンセスリンは繁殖に上げてより強い馬を作るのだが相手はどうするかな?同じハンター種で交配してもそれ以上強い馬は出来にくいだろうから他の国から輸入する方法を取るのが正解なんだろうね。そのあたりは地球の競馬の歴史に倣っていきますか」


セバスチャンは独り言の様にプリンセスリンの前で話す。それに対してプリンセスリンが答えたのか首を上下に振り出す。賛成してくれたのだと思いたい



スタッフ全員を先に帰したので厩舎にはセバスチャン一人で夜の飼い葉付けが終了したので桶を洗い飲み水を順番に水飲み桶に足していき最後にプリンセスリンの馬房

にたどり着くとリン王女殿下が馬房の中に入っておりプリンセスリンの首筋や鼻すじを撫でていた


「リン様、こんな時間にどうされたのですか?お供の方は・・・・・また一人で来られたのですね。王女宮では捜索が始まっていますよ、早く戻りましょう!」

「セバスチャン!私の馬であるプリンセスリンを褒めに来たら悪いのか?私を止める権利などセバスチャンには無いではないか。今日一番の立役者に労いの言葉を掛けに来たら悪いと言われたぞリン!其方もセバスチャンの言う事なぞ聞かなくてよいです!」


まくし立てるリン様に参ったセバスチャンはリン様を抱きしめる


「!!!」


「リン様、今日の勝利で目標に一歩近づきました。もう少し待って下さい。貴女に合う人間になりますので・・・・・」


二人は見つめ合いお互いの唇が重なるとプリンセスリンが「ヒヒぃ~ン」と鳴き二人は笑い出した

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