第39話 馬の乗り方と晩餐会前夜

遂に坂路コースが完成して王妃様、宰相閣下、ルクレール公爵夫妻、近衛騎士団長等にお披露目を行う。馬を坂路コースで走らせると最初は軽く走っていたが頂上に着く頃はヘトヘトになりほぼ歩いていると同じ速度になる

山から下りて坂路コースの効果の説明を行うと自身で試したくなった王妃様、母上は自ら馬に跨り坂路コースを駆けると「空に登るようね」等の感想を話して終了する


それから毎日調教に取り入れたが馬の疲れ方が酷くこのままでは故障の可能性が高くなった為、スマホで坂路調教の動画を見て気付く

「鞍にお尻を載せたままで走らせているからだ」と馬への負担が大きい事に気付き解決にはモンキースタイルでの乗り方をマスターする事で負担軽減に繋がると確信する


次の日、イルメス馬具商会に向かいエイダンに新しい鞍とあぶみ

手綱に練習用の木馬を図にして注文を行う

エイダンから三~四日で出来るとの事なので完成したら厩舎に持って来るように頼む


厩舎に戻りライアン、ミシェルにモンキースタイルでの馬の乗り方の説明と

馬に対する利点を教え中腰になる姿勢を馬に乗って教える。今まで鞍に乗ったままで走らせていた為、モンキースタイルで乗る為の筋肉が三人共に無く

苦戦するが鍛えて乗れる様になれば他の厩舎の乗り手が出来ないのでアドバンテージになるはずである

四苦八苦しながら馬に乗っていたので調教が終わると全身がプルプル震えており三人共、厩舎作業が殆ど出来なかった


何とか終わらせ屋敷に帰り着くとエリータに笑われ身体を突かれて酷い目に

あった後、父上、母上の報告を行い湯屋で身体をもみほぐしベッドに休む

「セバスチャンが若くて良かった。以前の私なら身体を動かす事も出来なかったかもな」すぐに深い眠りにつく


それから三日後、イルメス馬具商会から馬具一式が届き早速木馬に乗りモンキースタイルの練習を交代で行う。木馬は指示書通り出来ておりスマホでみた通りの動き

をするので乗り方がおかしいとバランスを崩す事もあるのでやはり四苦八苦しながら三人は練習してから馬に乗り実際の馬との違いを誤差修正するのであった


「馬を早く走らせる時にはこの恰好が良いのは分かりますけど兎に角普段使わない

筋肉が悲鳴を上げていますよ」

「セバスチャン様は私達に教える為に自ら練習もされている様なので私達より上手いですよね。少し悔しいです」


セバスチャンは二人に全身の筋肉を使う様に話し特にライアンは身体が固いので

毎朝、柔軟体操(ストレッチ)を教える。ミシェルも一緒に教えて「このストレッチ

を毎日すると少しずつ関節の可動域が拡大するので皆で行おうかな」


「「「宜しくお願い致します」」」


話しを聞いていた他のスタッフも賛同したので明日から作業前に取り入れる事が

決定する

三人が幾分筋肉痛がマシになったが痛い身体を動かしながら夜の飼い葉付けを行い

全員で帰宅する




屋敷に帰ると「セバスチャン、待っていましたよ。晩餐会の服を合わせましょう(笑)」母上が迫って来るので「母上、私は騎士伯ですから騎士服の着用ですよ。

お忘れでしたか?」

「う~ん?そうだったかしら?忘れたわ(笑)」これはセバスチャンを弄る為のイラズラだとすぐに分かった


母上から「セバスチャン、食後に旦那様の執務室に来るようにね」

「畏まりました」

全員で夕食を取った後、湯浴みをして執務室に向かう


「父上セバスチャンです失礼します」挨拶をして入室する


執務席に父上、ソファーに母上が座っており反対側のソファーに座り話しを聞く


「セバスチャン、明日はよいよ晩餐会だ。私とミカエルが他の貴族達に話を付けているので心配は少ないがセバスチャン、お前はコレーロス夫人とのやり取りを失敗しないようにしないとお前が失敗したらコレーロスに勢いを付けさせる上に逆にうちが没落する可能性があるのだからセバスチャンの立場は重大だぞ。いいかな」


「十分承知しています。私の動き一つでどう転がるか分からないとの事ですね」


「理解しているなら心配ないな。では明日は頼むぞセバスチャン」


「畏まりました」


執務室から出ると多少不安になりはしたが心配しても無駄と思いベッドに横になり直ぐに休む


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る