第38話 坂路コース使用開始

父ルイスとの話し合いから一夜、今朝はいつもより早く起床して厩舎に向かう


「まだ皆は来てないな。少しでも負担を減らしておかないとね」


セバスチャンは馬房から馬を放牧地に一頭ずつ出していると他のスタッフも出勤してきて「セバスチャン様早いですね!無理しなくて大丈夫ですよ。皆慣れていますから」と気持ちのいい言葉を掛けてくれるが厩舎の長が作業を全くしないのも変だと

思っているので「大丈夫だ、今日は一日坂路に行くから少しでも仕事が少ない方が

少ない人数でも回せると思ってな」と言葉を返すとアイゼンが「セバスチャン様が俺たちの事を考えて動いてくれているのは皆、分かっているので心配しないでセバスチャン様のするべき事をやって下さい」


全馬を放牧地に放った後、ミーテイングを行いセバスチャンは今日一日坂路コースを犂で耕す作業に従事する事とライアン、ミシェルは午後から参加する事を皆に伝え

セバスチャンは犂の準備をしてイルメス馬具商会に頼んでいた農耕馬に乗り坂路コースに向かう


コースに着くと十人位の人だかりが出来ていて近づくと現場監督と作業員達が何故かいて彼らの仕事は終了したのにと思いながら話しかけると「大将!何でもコースに敷き詰める材料が出来て無いからコースを少し耕すらしいと聞いたので俺たちの

力が必要と思い参上しましたぜい!」


ウッドチップがまだ出来ていないからコースを走りやすい様に耕してクッションを

利かせる話を確かにしたがまさか作業を手伝いに来ているとは全く想像していなかったので嬉しい誤算だ


「皆さん今日は集まってくれてありがとう。この人数なら明日までには出来ると思うので力を貸して下さい。土は十五㎝位の深さで耕して下さい。犂の歯に印をしていますので印を目安にして耕して下さい。私は今から残りの農耕馬を連れてきますので

まず一頭で作業を行いながら耕したあとから石や木の根が出たりするので拾ってください」



作業内容を伝えて監督に任せると急いで厩舎に戻り残りの二頭を現場に連れて行き

作業に参加させる。これならライアン、ミシェルは参加せず午後からは調教に回って

もらおうと思い作業員達の飲食物の準備の為に再度厩舎に戻る


「ライアン、ミシェル、昼から予定していた坂路コースの作業は建設作業員が来たから大丈夫だ。なので昼からは何時も通り調教に回ってくれ」

「「畏まりました」」


現場に戻ったセバスチャンは現場監督に指示を出しながらコースの耕し具合と深さを確認しコース全体を見ながら不具合のある個所は改善して一日目は終了した


二日目も前日と同様の作業を行ったが前日までにコース全体の三分の二が耕せたのでお昼過ぎには全ての作業が完了した。最後にセバスチャンはコースを試走し土の深さ、石や木の根が残ってないか確認を行い不具合が見れなかったので完成を宣言する

「皆さんのお陰で坂路コース完成しました。材料の関係上、未完成の部分もありますが今のままで十分なコースになりました。この後、早速コースを使い調教を行いますので是非ご覧ください」


作業員達に声を掛けた後、準備していた食事を提供して厩舎に戻るとライアン、ミシェルに声を掛けて調教する馬を連れてコースに戻る。馬はコースに行くまでに走り

準備運動が出来ているので直ぐに走らせる事が出来るがその前にライアン、ミシェル

に坂路コースの説明をする


「ライアン、ミシェル、この坂路コースは坂道を走る事で馬の脚の筋肉、腰を鍛える

事で早く走れる効果がある。しかしペースを考えず走らせると馬はバテて厩舎に帰れなくなる可能性があるので最初は馬なりでゆっくり走らせて欲しい。そして馬がコース慣れてきたら少しずつ早く走らせてくれ。最後に走り終わった後、必ず脚元を注意してみて欲しい。鍛えても故障したら元も子もないので慎重に」


「「畏まりました」」


こうして異世界での本格的な調教が開始された



「セバスチャンよこれからだ。期待しておるぞ」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る