第9話 漸くスマートフォンを使う(前編)

執務室で明日の作業分担を考えながら王妃様主催の競馬に出走させる馬を

選ばないといけないのだがここで問題が発生する




「日本の競馬は知識として分かるがこの世界の競馬を理解していないからどんな

距離を走るのか、牡馬と牝馬の混走なのか、限定なのかルールが分からないから

競馬の対策は家に帰ってから立てるとするか」




今日は流石にミソラルが待っていることも無く問題なく屋敷に戻り、馬を厩舎に

連れて行き飼い葉と水を与えた後、屋敷に入ると





夜の飼い葉付けを行っている二人に声を掛けて馬に乗り屋敷に戻ると玄関ホールに

ターシャを見かけ「ただ今帰ったよ」と伝えると




『お帰りなさいませセバスチャン様。今日はお早いお帰りで』




「仕事のやり方を工夫したから早く帰れたよ。朝も伝えたけど朝は早く出るけど

夜は早かったり遅かったりするのでこれからは前日に帰りの時間を伝えるから。

そうでないと夕食の支度に支障が出るだろうから」



『ありがとうございますセバスチャン様。とても助かりますので今後もそのように

お願い致します。丁度夕食の準備が出来ましたのでエリータ様をお声掛けした所です』




「わかったよ。今日もしっかり汚れてきたので湯浴みをしてから食堂に行くので

エリータには先に食事をするように伝えてくれ」




『かしこまりました』




そうして湯浴み後、自室に戻り髪を拭き大雑把に乾かし食堂に向かうとエリータが

食事を終えて紅茶を飲んでいる所であり「兄さま今日はお早いお帰りで」と少し

嫌味に取れるニュアンスで話しかけてくるので



「私も早く帰る事位あるよ。私が早く帰る事が悪いかいエリータ」




「兄さまは何時もお帰りが遅く帰ってくると大概お酒の匂いや香水の匂いをさせて

帰られるので心配しているのですよ。お父様と母上様がお帰りになったら大変な

事になると思うのですが・・・・・」



エリータも社交界にデビューしているから今までのセバスチャンの素行を知っていて

当然だが領地にいる両親、特に母上に知れたら追放は間違いないと考えながら食事を取りながらエリータと話を進めていくとエリータから競馬の話が出てきて




「お兄様、今日のお茶会で王妃様主催の競馬のお話が出たのですが今の所最下位に

なるのは第三厩舎ともっぱらの評判でその場にいた私はいい気分がしませんでしたわ。お兄様大丈夫なのですか?このままだと競馬観戦に帰ってきたお父様に家から

追放されますよ」




その言葉にセバスチャンの記憶にある両親は必ず罰に近い事を言って来るだろうから追放は確実にあり得ると思いつつ



「エリータ心配をしてくれありがとう。そうならない為に今日から対策を取り始めたから。遅いかも知れないけど何もしないよりはましだからね」




「ならいいのですがミソラル姉さまが泣く姿を私は見たくはありませんから」




そうだったエリータとミソラルは兄弟の様に仲が良いので自分が追放になったら

私の奥さんになれなくなるので余計に心配しているのだろう(但し他の女性関係

がばれたら妹にも殺されるかも)自分にも別な心配事が出来てしまう




「エリータ、私は今からその競馬の事を考えるから先に部屋に戻るよ。アンナ、

部屋に紅茶を運んでくれるかな。」



『畏まりましたセバスチャン様』



控えめに食堂でサーブをしてセバスチャンが紅茶を持ってくるように声を掛けた

のはパーラーメイドのアンナで十四歳の時に見習いとしてルクレール家に入り

今年の成人と併せて見習いを卒業してパーラーメイドに昇格した女性である。

使用人の中では一番年が下で素直な性格で裏表が無いので他の使用人だけで無く

両親もお気に入りの子で昨年領地に戻る時に連れて行こうととして普段は使用人

の長で必ず主人の立てて控えて動くターシャが「見習いが済んでいない未成年の

使用人をご主人様達に付ける訳にはいけません。それとも命令でしょうか?」



ターシャから黒いオーラが見えて迫力があり流石の父上も何も言えずに引き下がった

のは主人の間違いを戒めるのも家令の仕事だと実感したシーンだった




「さて、スマホを使って検索するかな」







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この回で書ききるつもりでしたが構成力が足りないばかりに二本立てになります



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