第10話 漸くスマートフォンを使う(後編)

アンナが紅茶を運んで来たのでテーブルにセッティング後、退室したタイミングでスマートフォンを机の引き出しから取り出し電源を入れる。神様の力でこの世界に

無い品物の為、他人の目が届かない場所に保管をしないといけないので今後は保管

場所を工夫しないといけないと考える。おまけに異世界なのに地球の電波が入り

電池が一切減らないチート使用の為機密保持が必要である




「神様が十六世紀位のイギリス競馬のレベルと話していたのでまずは十六世紀の

競馬を調べるかな」



検索を行い見ると競馬は十二世紀のリチャード一世の頃に貴族の間に浸透したようで十六世紀の王様ヘンリー八世がエプソムに王立牧場を設立し、十七世紀の王様

ジェームス一世は馬の品種改良が競馬の発展に必要不可欠と考えて色々な国から馬を

集めて競馬を発展させてチャールズ二世が現在のニューマーケットに競走馬の牧場

などの基礎を作り上げられ本格的なレースを現在のアスコットで十八世紀初頭に

六歳以上の牡馬、牝馬,セン馬による距離四マイル(約6435M)、斤量約七十六キロで行われた当時の王様アン女王主催で行ったのが王室主催開催の始まりと記載がある




「全てを当てはめる事は出来ないけどある程度理解出来た。まず距離が日本の

一番長いG1レースの倍の距離があり騎手が背負う重さも日本の競馬で考えると大変

な事になるな。元々が騎馬だから鎧を装着した人間を乗せて走るので重たいのは

当然だな。これから新しい品種を作る訳だからレースで優秀な馬を見つける事が

大切になるな」




明日から競馬に走らせる馬を選抜、調教を行う事を考えて二十二頭を三人で乗り

適正のある馬を見つけ、調教を行うがただ早く距離を走らせても駄目と思うので

ここで日本のトレーニングセンターで行われている調教方法をこの世界で出来る

範囲で行い馬を鍛えてみようと考え次は日本のトレーニングセンターを検索する




「一番欲しいのは坂路コースだな。イギリスのニューマーケットにも坂路コースが

あり効果が出ているのだから明日からでも作業を行う手筈をたてよう。放牧場の

裏が丁度山があるからなだらかな坂道を整地して馬が走れるようにしよう。そして

もう一つ欲しいのがプールだがプールは作れないから近くにある川で泳がしてみよう

かな。その為に水深を調べて川に入る場所と上がる場所に足場を作るのも必要だろうからここにも人手を入れて早急に調教を行える設備を作らないといけないな」




セバスチャンは紙とペン、メジャーを取り出して坂路コースと水泳コースの簡単な

見取り図を作りこれを元に土木作業士に製作を依頼する事にした




「スマホのお陰で大分進めることが出来そうだ。坂道の角度なんかは本当に調べないと分からないし素人の自分が作業する側の人と話をするのに理解していないと

話が進まないから助かるね」




見取り図を書き終えて考えるのは設備投資の為の資金をどう調達するかの問題で

セバスチャン自身の資産で行う事も出来なくはないがそれは最終手段でやはり

パトロンになる貴族が必要なのでまずはルクレール家と懇意にしている貴族との

話し合いから始めないといけないと考える




「折角競馬に集中出来るかと思っていたけど神様からのお願いと自分の今後が

掛かっているから嫌とは言えないね。エリータにまたお酒臭い、香水臭いと

言われるのが辛いな~」



明日も早いので明かりを消して就寝するとすぐに寝てしまうのであった

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