第6話 身辺整理を行う(和雄目線にて)

夕暮れどきになり放牧していた馬達を馬房に戻し飼い葉付けを行っているとリンが

戻って来て遠乗りを行い満足な表情で馬から降りるといきなり爆弾発言が投下され




『セバスチャン、今日は私の部屋に来てくれるの?』




「?????」




夕暮れで赤く染まっているいるのかと思っていたらリンの頬も薄っすら赤みを帯びており元のセバスチャンは一体何をしているのか和雄も考え困惑する。



「リン王女殿下と同衾なんてしていたらセバスチャンは処刑で家も取り潰しになるじゃないか!セバスチャンは阿呆なのか」




あまりのも混乱している為にセバスチャンの記憶が読めないので取り敢えず差支え

無いであろう言葉でこの場を濁す




「リン様、本日はこの様に私一人で作業を行っておりますので大変申し訳ございませんが差し控えさせて頂きます」




差し支えないつもりの返事だと思ったがリン様が不機嫌になり仏頂面でこちらを

睨んでいるので仕方なくこの一言を伝えた




「来た時にもお話しましたが私は厩舎の皆を困らせないように真摯に業務を行う

事を第一に考えています。それが評価に繋がり叙爵の話が上がればリン様が考えている問題も解決すると思われます」




その言葉を聞くとリン様の機嫌が治ったを見て同衾が事実だと判断した和雄は頭を

抱えながら身辺整理が必要だと心から思いながらリン様を使用人の勝手口までエスコートして見送るのであった(私にこんなチャラいセリフが言えるなんて)




リン様を送迎後、残りの飼い葉付け、ランプに火をともし桶などの洗い物が終わり

本日の業務が終了したのは日が暮れて空の上に月が輝いていました。必要な荷物を

鞄に詰めて馬に乗り門番に裏門を開けてもらい馬を走らせて人が疎らな貴族街を

抜けていたらフードを被りランプを持った人がこちらに向けて手を振るのでスピードを落として少し用心しながら近づくと【セバ~スチャ~ン】若い女性の甘い声で

呼ばれた為、目の前で馬を止めるとフードを外して近づいてきた女性はリン様より

少し年上に見えるダークブラウンの髪をセミロングに伸ばした綺麗な女性だった




【セブ、貴方が帰ってくるのをずっと待っていたのよ。こんな可愛い彼女に一言

有っても良くないですか】




またもや衝撃が走る。今度は愛称で呼ばれている時点で近い関係性が明らかで

少し落ち着いてセバスチャンの記憶をたどると彼女はハイクレア男爵の一人娘

ミラソルでエリータより一つ上の17歳で家に格差はあるがセバスチャンの両親

は気にしておらず逆に『ミソラルは器量良しだからセバスチャンのお嫁にでも

いいわね。そうすればエリータに新しいお姉ちゃんが出来て万事解決ね!』




なにが解決なのかは知らないが表向き家族公認の相手であるが婚約はしておらず

うちの家族とは親子同然の付き合いをしているのだけどセバスチャンとは恋人と

しての付き合いをしているのだが当のセバスチャンは数いるガールフレンドの

一人であるようなのでここで下手な発言をすると取り返しのつかない事になりそう

なので短い時間で考えた事を伝える




「ミソラルこんばんは。ゴメンね!かなり遅くなってしまい待たせたみたいだね。

実は今度、ダイアナ王妃様主催の競馬の準備の為に当面毎日遅くなりそうなので

夜は物騒だから私が呼びに行くまで待ってもらえるかなミソラル・ハイクレア嬢」




これで大丈夫かな?と思いながらミソラルの顔を見ると暗いけど動揺した表情が

見えて【貴方はそう言って誤魔化すのだから・・・・・うぅちゃんと呼ばないと

叔父様たちに言いますからね!】言いたい事を言うと少し落ち着いた様で



「家まで送るよ」



馬に乗せたいのだが今日の作業で服があまりにも汚れているので馬から降りて

彼女の屋敷まで少し話しながら送り届け、家の近くで止まるとミソラルは目を閉じ

口を突き出してきたので「今日はこれでごめんな」と頬に軽く口づけをすると

不満そうな顔をしたけど嬉しそうにして屋敷に戻っていった




「本格的にまずいな。帰ってまとめないと取り返しのつかない事になりそうだ」




屋敷に帰り着くとハウスメイドのリズが待機しておりリズから湯の準備が出来

ている事を聞き食事を部屋に準備するように伝え、終わったら休む様に伝える




湯から戻り食事をしながらセバスチャンの女性関係をペンで書いてみた






・リン第三王女殿下・ミソラル男爵令嬢・ジュリエット子爵令嬢

・アゼリ伯爵令嬢・メアリ侯爵夫人・ジェニファー嬢(馬具商人の娘)




「六人・・・・・どうしょう。一夫一妻制で側室も無い世界で六人全ての

女性と関係を持ち一番不味いのはリン様とメアリ夫人の二人でだよな~」




セバスチャンは成人して近衛騎士団に入隊した時に騎士伯の位を叙爵されて

おり一応独立した貴族であるが身分としては低い位置にある。公爵家である

ルクレール家の一員であるので多少は好き勝手出来たとしても流石に女性は

嫁に出るまで純潔を守るのが当然なのによりにもよって公女殿下に手を出して

いる時点でアウトでいつ処刑台に上るのは時間の問題である




「とりあえず全員上手く別れないと神様にお願いされている競馬文化を上げる前に

私の第二の人生が終わってしまう」




これ以上考えても今日の所は無駄と悟り、ランプの明かりを消すと疲れからか

すぐに眠りについた

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る