第4話 スタッフはどこに居るのかな
掃除を始めて三十分位経つが他のスタッフの姿が全く見えない.
確かにセバスチャンの記憶を見ても自身で厩舎活動を行った記録は見えずいつもは
他人任せにして自分から何一つ行わず執務室で書類の整理と称してサボっていたようである。
ようやく通路の清掃が終わり少し一息つくために水筒の水を飲んで厩舎の外に出ると日当たりのよい場所で八人の男女が朝からアルコールをのんで話をしていた
私に気づいた小太りの男性から「セバスチャン様も一杯どうですか」とおおよそ上司と部下の会話でなく居酒屋で一人で飲んでいたら隣の席から「一緒に飲まないか?」な雰囲気で声をかけられたので酒場ならいざ知らずここは城内なので一言話すことにした
「みんなおはよう。朝から酒盛りとはご機嫌だね。私も昼から上司の所に行かないのであれば一杯と言いたいとこだけど厩舎作業はどうしたのかのかな?」
その返事に先ほどの小太りの男性より「飼い葉付け、馬房内の馬糞とり終わりましたよ」返事が返ってきてそれを聞いた私はショックを通り越して「あ~う~」と
幼児退行していたようでその姿を見た男女から怪訝そうな表情が見られた事で
正気に戻り以前のセバスチャンが王妃に命令させていた事を思い出して話す
「実は3か月後に王家主催の競馬が開催される。もちろんうちで管理している馬が勝てば報奨金が出るぞ!」
その話を聞いた瞬間に全員が【ウォー!こんな安酒とはおさらばよ!出たらお姉ちゃんとグフフ】と欲望丸出しの声を上げていた所に私から水を差す一言を伝える
「ただし、成績最下位の厩舎は解散、職を失う事になるのだからな」
大盛り上がりから一転この世の終わりのような顔をしており皆から
【隊長は貴族だから他の仕事があるだろうけどわしらは全員無職になって最悪、スラムで生活せんと行かんくなる助けてくれ~】悲痛な叫びが聞こえてくる
あえて皆に伝えた「もし最下位なら今後貴族の仕事は出来ないだろうし公爵様の性格なら身分剥奪で勘当が妥当な線かな」とあっけらかんに答えたら
【わしらより大変じゃないですか】皆が詰め寄ってきたので、落ち着くように声をかけて「それを考えるのが私の仕事だから事実を伝えたけど何も対策を考えてはないから」
顔を曇らせた表情でセバスチャンを見るので仕方ないなと考えて切り出す
「今までの事を後悔しても帰ってはこない明日からをどうするのかを考えて行く方が大切だから」と話すと意味が分かっている人と分かっていない人で分かれ教育が国民全体に浸透していない事を痛感してしまう
全員が分かるように改めて話しなおす「私は皆を見捨てたりはしない。それは断言する。但し明日からは仕事中の飲酒は禁止にするから」
え~と不満の声が上がるがそれを今まで見て見ぬふりをしていたセバスチャンにも責任があるのでもう一つ踏み込み「今日までの生活はここで終わりにする為に今日はもう仕事終わっていいぞ」
そしてセバスチャンは懐の財布から金貨を八枚出して一人ずつ渡して伝える
「この金貨は皆の生活を変えるためのお金だ。食べるものを食べてもう少しまともな作業着で仕事をしてお城で働いている意識を持つために風呂は入れないだろうからせめてお湯で毎日身体を拭いて身綺麗にして欲しい」
まず自分から変わらないと部下は付いてこないだろうから身銭を切った。そして
「明日からは私も厩舎作業に参加するからな」
『えええええぇぇぇ!!!!!!』
今日1番の大声が響き渡る
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