第2話 家族の確認から始めよう

食堂に向かうと入り口に家令のターシャが立っていて「セバスチャン様おはようございます」とあいさつをしてくるので「ターシャさんおはよう」と返すと

「???」怪訝そうな顔をしてくるので「何かおかしい事したかな?」考えながら

自分の席に着くとハウスメイドのリズから「セバスチャン様お熱でもありますか?」なんて失礼な事を話してくるので少しムッとしてので語尾を強く話す。


「なんか私がおかしい人みたいな扱いで気に障る事をしたかな?」



『おかしいです!!』



食堂にいた全員から否定され、次女のエリータから「兄さま!その話し方は何ですか?」



エリータから他人に喋りかけられるような声かけをされ頭の中は「???」で活気はあるが貴族としてのマナーで他人がいる前では家族と話す時でも丁寧な話し方をする事を教えられており特にエリータは猫を被った位に分別が出来ている。


そのエリータが声を荒げる位の大声で話してきたので元のセバスチャンすら驚いている有り様だ。


お兄様、どうされたのですか?いつもだったらお城に行きたくないオーラを巻き散らかしターシャに「さん」をつけるなんてお兄様らしくないです。


それにお城での仕事を大変嫌がっていていつも私に「キツイ、汚い、給金が安い」とぼやくではないですか。それが今日のお兄様は教会で懺悔して穢れが無くなり身も心も清らかになったような雰囲気ですわ!



そこまで言われるとフリーズしてしまいどの位の時間考えていたのだろうか元のセバスチャンの記憶をたどっていくと確かに毎日不機嫌で使用人達に「さん付け」なんてしない、おまけにセバスチャンのお城での仕事は近衛騎士団団員は名ばかりで毎日馬房の掃除、馬の世話、馬糞の始末などおおよそ貴族の息子がするような仕事で無いことは把握できた



しかしセバスチャンの魂と一緒になった自分は大学生時代の夏休み、冬休みで行った牧場のアルバイトの経験があるので確かに匂うがそこまでないので天職とまでは言わないが馬に触れるなんて楽しみだな~と呑気な考えを起こしていた



「お兄様、兄様!」何度もエリータが傍で声をかけてきてようやく戻って来てエリータに「すまないな、王妃様からの命令を考えていた」と伝えると


お兄様は気が弱いから皆さまが受けたくない命令を全て押し付けられ不満が溜りいつも不機嫌ではないですか!



改めてセバスチャンの記憶をたどると確かにその通りでいつも不機嫌で不満を巻き散らかす事も出来ないので日々悶々としている事がわかる



考えてもどうにもならないので食事を済ませ出仕の前に部屋でルクレール家の整理を行う



キングダム王国の公爵家ルクレール家は大陸北部に領地をもち(ブーツの形をした大陸でルクレール家はつま先から踵までの領地を所有している)

領地の特産は農業と牧畜で特に麦で作る蒸留酒は王家御用達の名誉を受けている



家族は父、母、兄2人、姉1人、妹1人に自分を入れて7人家族で父ルイスは名君と呼ばれており父の世代で産業を発展させ民に慕われている。基本領地にて経営を行い社交界シーズンになると王都に戻る貴族である。

母ミカエルは先代国王の娘で決められた婚約者がいたのだが父ルイスに一目ぼれして大反対され保養地に送られていたのに脱走して父の元に駆けつけ既成事実を成し遂げた行動力の塊な人である。領地の繁栄はこの夫婦なくてはならないのである

(因みに現王妃は母の妹である)



長男のケビンは王都でのルクレール家の家長代理で父の代わりに王都で業務を行っている。28歳既婚者。子供5人


次男のロマンは子爵家の令嬢と結婚して子爵家の当主として手腕をふるっている。25歳既婚者。子供1人


長女のダーリアはセバスチャンの記憶にある姿だけでも美女であるが学生時代に身分にとらわれず告白をした男性は学院のほぼ全てにあたり母と同じく貴族には珍しい恋愛結婚をした姉である24歳。侯爵の旦那さんと子供2人



最後に次女のエリータは16歳で今年学校を卒業して母の代わりに社交界で有象無象の奥様方を相手に優雅にこなす天才少女と呼ばれているが私にとってはただの我儘妹である。結婚話があがっているが本人は全く気にしていない様子


整理が出来た所でリズから馬の準備が出来ましたと声が聞こえ城に行くことになる

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