100, 0-58 幕間・家出令嬢の迷宮
・セリーナ=ハルフォードの迷宮
前回のあらすじ
ジョニーに惚れてしまった
ジョニーの考えで私達はダンジョンへ入る。
通常は冒険者になってすぐに入るものではないそうだが私達の技量であれば問題ないとのことだった。
(私はいいが、ヘルガは大丈夫だろうか・・・)
「ジョニーさん、モンスターが襲ってきたら守ってください」
「・・・ああ」
「ありがとうございますジョニーさん」
ジョニーに抱きつくヘルガを見て思う。
(ジョニーがいれば大丈夫だな)
安心した私は周囲に目を向ける。
「迷いそうだな」
「まっすぐ進めば次の階層だ。迷うことなどない」
「いや・・・しかし、さっきからずっと同じ景色だからな。モンスターを探すために部屋を見て回るのだろう?」
「右や左に曲がっても通った部屋の数を覚えておけばいい。覚えられなくとも部屋は無限にあるわけではない。一周すれば階段にたどり着く」
「そうか・・・」
「ただまぁ、戦闘で動き回り、どの通路から入ってきたのか忘れてしまう、という冒険者もいる。そういう奴らは壁に印をつけたりするな。低級階層なら時間をかけて出口を探してもいいが、中級階層だと連戦で消耗して死ぬ、なんて事になりかねないからな」
「冒険者もいろいろ考えているのだな」
「ダンジョンの壁は基本的に破壊できない。大型モンスターの体当たりにも耐えられる強度だ。だから印はペンでつける。修復機能もあるので印も一日ほどで消えてしまう。迷いそうだと思うなら印をつける道具を携帯しておけ」
「了解した」
次の階層を目指す中、遭遇したゴブリンを倒し魔石を回収する。
スライムというモンスターは倒すことなくジョニーが蹴り飛ばす。
ブヨブヨとした丸いフォルムで飛び跳ねる姿はどこか愛らしい。
「ここからは中級階層だ。ゴブリンより強いモンスターが出てくる。あそこにいるスライム、あれは属性スライムだな」
「属性スライム?」
「魔法を使ってくる。低級階層では蹴飛ばしていたが、属性スライムに背中を見せると魔法を撃ってくるからな。倒さなければならない」
「それは可愛そうだな・・・」
「可哀想?」
「い、いや、その・・・手本を見せてくれ!ジョニー!!」
「・・・ああ。ほんのりと赤いな。火球の魔法を使ってくるタイプだ。他のスライムなら
ジョニーは剣を抜き、歩いて3体のスライムに近づく。
特に警戒するでもなく急ぐでもないその様子は、スライムを脅威に思っていないのだろう。
スライムの前に火球が浮かび上がる。
ジョニーはポケットから何かを取り出し連続して投げる。
何かは火球に当たると火球は弾けて消えてしまった。
魔法は連続で使えないのかスライム達はジョニーに飛びかるが、ジョニーは少し後ろに下がりながら剣をサッと横に振る。
一番近くにいた中央のスライムは体液を出し床に落ちる。
残りのスライムも同じように倒すジョニー。
「スライムの体液は酸性だ。しっかり手入れしないと武器が駄目になるから注意しろ」
そう言い剣の手入れを始めるジョニーに問う。
「ジョニー、さっき何を投げたのだ?」
「石ですよねジョニーさん」
「ヘルガには見えたのか?」
「ええ、偶然見えました」
「そうか、偶然か」
「・・・属性スライムが使う火球の魔法は対象に当たると弾ける魔法だ。その性質を利用して石を投げ当てれば消せる。避けるより楽だからな」
「なるほど」
「ジョニーさん凄いです!かっこいいです!!」
ヘルガは感動したのかジョニーに抱きつく。
「魔石と皮を回収する。離れてくれ」
(ジョニーはヘルガの想いに気づいていないのだろうか・・・)
ジョニーが立ち止まり、壁に触れる。
「ここに隠し通路があるな」
「隠し通路?」
「宝箱がある通路だ」
「よくわかるな」
「魔法で見つけただけだ」
ジョニーに付いていけば宝箱があり、はしゃいだヘルガがジョニーに抱きつく。
「凄いですねジョニーさん」
(確かに・・・ジョニーは凄い男だ)
「この部屋には
部屋の中にはずいぶんとガタイがよく、ロングソードを携えたモンスター達がいた。
その中でも一際大きなモンスターは鎧まで着ている。
「あれが
「まずは雑魚から片付ける」
ジョニーは
後ろに下がり、
倒れた
ジョニーはあっという間に
しかし
(よし、私もやるか・・・)
動揺し、後ずさるモンスターの胴を薙ぐ。
「そのモンスターを倒したのか?」
「転んで勝手に死にました」
「そうか・・・、モンスターも転んで死ぬことがあるのだな」
「・・・魔石を回収し、ロングソードを集めろ。ロングソードは武器屋に売れば結構な金になる」
「ああ」
「私は剣を集めます!」
皆で協力し魔石や剣を回収し終え、ジョニーが討伐証明であるという
「集めたものはお前達にやる。帰るぞ」
「まだ階段があるぞ。奥に進まないのか?」
「この下は上級階層だ。上級階層は危険だから行かない」
「そうか・・・」
「ジョニーさん、今日の御飯はなんですか?」
「今日は宿屋に――」
「お肉が食べたいです」
「・・・・・・」
(ヘルガは積極的だな・・・)
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