第2話 前日談
かつて戦争があった。
世界歴二千年に発見された新元素ジャポネニウムの存在が、極東の小国ジャポネに戦禍を招くこととなる。
この元素を触媒とした動力炉、ジャポニウムリアクターは無尽蔵とも言えるエネルギーを産み出すことに成功したのだが、ジャポネニウム自体がジャポネで発見された古代隕石由来の物質のため、他の国では手に入れることができなかったからだ。
ジャポネニウムの独占を望んだ大国メリケンと、石油利権の崩壊を恐れた筆頭産出国チュウユの利害関係が一致したことが引き金となり、ジャポネはそれらの国を中心とした連合軍と戦わざるをえない状況に追い込まれた。
追い込まれたジャポネは苦肉の策として人型自律兵器ライカンスロープを実践投入した。ジャポニウムリアクターを動力に使用することで、従来では机上の空論とされた兵器を完成される至ったジャポネ防衛軍の戦果は目覚ましく、総勢百のライカンスロープは連合軍を退けて、ジャポネを連合各国との講話に導いた。
だがこれは始まりに過ぎなかった。ライカンスロープの核となったのはジャポネ国内で試験運用されていた
ライカンスロープと一体化した彼らオートマタンから動力炉を取り上げるということは、彼らにとって死を意味していた。
できるだけ優秀な戦力とすべく、運用中の自己進化により自我を獲得した個体を優先して改造したことが仇となったのだ。人間に近づいたことで死を恐れた彼らが不要になったからと解体されることを是とするわけが無かった。
これまで敵として戦ってきた相手に自分の命を差し出せと言われても頷きがたいモノがある。当然のように彼らはジャポネひいては人間すべてに反旗を翻し、ライカンスロープではないオートマタンをも巻き込んだその戦いは連合軍以上の被害をジャポネにもたらせた。
むろんすべてのライカンスロープが逆らった訳ではないため
これらの戦い、そして戦後のオートマタン排斥運動によりジャポネニウムとオートマタンを失ったジャポネに再興の芽はなかった。
そして、
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