第5-18話 収集デート第2部開始

「次はどうしましょうか」

 次は俺の番だな。デートの定番。考えた末に出てきた答えは、

「ここだ。ここ」

 移動はbarcoまで来た時間と同じ。なぜなら、

「戻ってきましたね」

 それもその筈。ここはまさに集合した巨大マネキンが置いてあった名加屋駅の前、ミッドナイトスクエアの最上階が目的地。ここには1フロア使った大きな映画館がある。更に別館にもスクリーンは用意されている。名加屋周辺に住んでいる人以外にもここに映画を見に来る人は大勢いる。なんせ周辺の県ではやっていない作品がここでは公開されているということは多々ある。交通の便良し、作品数良し、更に周辺にはアミューズメント施設もあるのだ。

「俺もデートについて詳しくないから思いつくものをやっていこう。世の中のカップルが本当に映画デートをしているのかは知らないが、ドラマだとよくやっているイメージだしな。てことは俺たちもそれを参考にすればいんじゃないかと」

 既存の作品に多く出されたテーマだけあって間違ってはないだろう。過去の偉人に習おうではないか。

「なんの映画見る?」

 どの作品を見るかは全く考えていない。プランなんてものは映画を見て終わったら話す、以上。未経験者にあまり求めんな。

「こういう時ってベタに恋愛モノだろうな、櫻尾はどうする」

 こいつもネタのために見るんだ。それこそ王道を行くのがベスト。

 特に今なんかまさに転校生が主人公の映画が公開されている。CMで見たときにまさに俺と櫻尾になんとなく設定は似ていると思ったんだ。男が学園の王子様以外はな。あんなキラキラした生徒がこの世に存在するもんか。いたら芸能スカウトが黙ってないぜ。

「って櫻尾。どこにいるんだ」

 声をかけたが返事がない。トイレにでも言っているんだろうか。それかナンパされているとか。

「ありえる。それこそスカウトされそうだ」

 俺の周囲には見当たらない。別に急いでいるわけじゃないんだ。公開直が迫ってきている以前の問題で、何を見るのか決めてすらいない。とりあえず隅の方によって人ごみを避けよう。

 ここの映画館もほかと同じで壁に公開中の映画や次期公開予定の映画のポスターが並んでいる。こういうところはなにげに人が集まらない。多くの人が何を見るのかを決めてから映画館に来ているし、何より今の時代、スマホがある。公開時間までの暇つぶしなんかいくらでも出来る。

 人がいないことはいいことだ。休日に名加屋、barcoのある栄江と人ごみの中にいたんだ。ここにも多くの人がいるに入るが、幾分楽な方だ。櫻尾が来るまでちょっと休憩。ついでにもう少し何見るか考えておくか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る