第5-15話 みんなカメラ越し
ほかにも学校であったことやもうすぐある中間テストの話をしていたらついに席に案内された。
メニューは思ったよりも豊富でパンケーキ以外にもオムレツやハンバーガーもあった。エッグベネディクトとはなんだろうか。
櫻尾はストロベリー味、俺は抹茶にした。ハワイで人気のお店が日本に出店した時に用意した日本限定のメニューだそうだ。
「やっと座れたな」
「行列長かったですもんね」
用意された水で水分補給。服を探して歩き回っていたのもあるが、それを言ってしまうのは流石にダメなのは分かる。
「パンケーキ来る前に写真撮っていいですか」
「いいけど、何撮るんだよ」
一番のお目当てがないというのに。
「お店の中も写真で撮りたいんです。後でなにかに使えますから」
「いいんじゃね。他の人もスマホでいっぱい撮ってるんだからさ」
櫻尾は気になった内装を写真に収めていく。俺も何かしら撮ろうかな。
スマホをカメラモードにした時に一通の連絡がいていたのに気がついた。事前に相談をしておいたケイからだ。
俺が考えたことはだいたい話してある。その上でどうすればいいのか聞いてもらったのだ。だからあいつは大体のスケジュールは知っている。
『順調か?』
どう答えよう。デートごっこをするとは言ってあるがネタづくりのためとは言っていない。この場合、ネタづくりとしてはまずまず。これを好感度上げのイベントと考えると悩むところ。
『ぼちぼち』
こう返しておけば無難だろう。どうしたら好かれるのか分からないからこれでお茶を濁す。
おっと、目的は写真を撮ることだった。メニューでも撮るか。
『なら順調か』
画面が切り替わり撮影の邪魔をしてくる。
『どうしてそうなる』
するとすぐに返信が来た。
『上手くいってないならネガティブな返事になるからな。そう言ってこないってことはいい方向に進んでんだよ』
『言葉にしづらいだけだ。本当にぼちぼち』
『なら今の櫻尾さんの写真頂戴。言葉じゃなくて彼女の表情なら分かるから』
いいぜ。やってやろう。
「ちょっと写真いいか」
「いいですよ」
そう言って櫻尾が席を退く。
「そうじゃなくて。櫻尾を撮っていいかてこと」
「ネタか何かに使うんです」
ケイに見せるためなんだが説明はめんどくさい。
「まあそんなとこ」
レンズを向けた先、櫻尾がピースをしてくれた。一緒に笑顔も。
「それじゃ撮るぜ」
パシャリと電子音がなる。
よし、あとはこれをケイに送れば、
「……」
『どうした? なにかあったか』
『カメラ壊れて写真撮れねぇや』
これを他人に見せるなんて勿体無い。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます