第4-6話 掃除といえば……
掃除機をかけ終わるまで飯は食えないし、スマホをいじるのはなんか違うしなぁ。まだまとめてない雑誌でも読んでみるか。一部屋掃除機をかけるだけだろうし、そう長い時間じゃない。手にとったのは、
「うわぁ。こんなのもあるのか」
週間掲載漫画だった。すでに完結した漫画が多く載っている。数作品かは未だ連載しているが、ここに持っている話からして、連載初期のほうの話だ。漫画喫茶で見たことある。有名だが知らない作品の途中の話、ちょっと時間を潰すぐらいならいいのかもしれないな。そう思って読み始めた。
「……面白いな」
やっぱり名作だけあってか、途中の話を見ただけでも引き込まれた。これを連載当時見ていた人が羨ましい。面白いものはいつの時代も評価されるというが、やっぱり鮮度がいい時代に見たい。そのほうが友達と学校で話して盛り上がるだろうし。
次の話が気になるな。もしかしたらあるんだろうか。
「んーと。これは何号だ」
20号と背表紙に書かれている。確か21号は入口近くで見た覚えがある。ちょっと探してくるか。
掃除の邪魔にならないよう、足元に気をつけながら目的地に進んでいく。
「お、これじゃ」
手に取ると同じタイトルの雑誌だ。けど、
「22か。なら21はどこだ」
見間違えたか。あったと思ったんだけどな。これを読んで待っているのもいいけど、どうせなら飛ばさずに読みたい。ちょっと探してみるか。
玄関も沢山本が積んである。背表紙の番号を確認するだけだから時間はそんなにいらないはず。整理したり、捨てるんじゃないからな。
「これじゃない。これでもない。あれじゃない」
ざっと見ても見当たらない。本格的に探すのは違うしな。一旦これ読むか。
部屋に戻ろうとしたとき。あるものが目に入った。
「これは求めていた21号では」
さっきまで俺たちがいた部屋の入口前にそいつはいた。よし、これで読めるぞ。
またしても雑誌の上に座って読み始める。今度は22もあるんだから探す必要はない。
まずは気になっていた続きの話からだ。敵の攻撃にやられそうになったところで終わっていたからな。どう凌いだのか。そして反撃はどうするのか楽しみだ。ほかの作品も続きが気になるものもあった。掃除はもうちょっとかかりそうだし、読んでても大丈夫だろうさ。
そう思い、俺は見つけ出した漫画の続きを読み始めた。
「辰巳さん。終わりましたよ。辰巳さん」
「えっ」
急に櫻尾に肩を叩かれてびっくりした。
「掃除が終わったのでご飯にしましょう」
「あぁそういうことね。オッケー」
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