第4-2話 奢りのスウィーツ

 既に準備されていたノートを広げる。

「ちなみになにを聞きたいんだい」

「デートて何するんだ?」

 いきなりど直球な質問をしてみる。イメージが沸かないから具体的な質問のしようがないしな。とりあえずなんか答えてくれると信じてる。入ってすぐに注文したケーキを食べながら答えてくれた。

「彼女、ないし、好きな人と出かけた先で遊ぶことを一般的にはいうんだろう。けどソータ達はそういう答えが欲しいわけじゃないんだろ」

「もっとノウハウ的なことを教えてくれると助かります」

「そんなに悩まなくても、どこで、なにしたとか、そういうのでいいんだぞ。過去に付き合ってたときの話を教えてくれればいいんだって」

 腕組をして天井を見上げている。思い出しているんだろう。てか思い出せ。

「それなら水族館に行ったことがあるな。あとは服選びについてってアウトレットとか」

「そうそうそういうのですよ。他には」

「学校帰りにカラオケしたり」

「それ以外で」

「相手の家に行ったり」

「おうちデートというやつですね」

「デートてこんな感じでいいの? 水族館とか買い物とかは、まさしくデートだけど、家行ったりなんてただ遊んでるだけじゃん。もっとなんかこうさぁ」

 ケイは本当に、なんてことないことばかりを挙げる。

「大袈裟に考え過ぎだって。テキトーに遊ぶだけなんだから。なんなら彼女の家に行った時もやったことなんてソータと遊んでる時と大して変わらないぞ」

「んなわけないだろう。デートなんだろ」

 もっとキラキラしているもんだろう。ただの遊びだったら俺でもできる。参考になるような、ならないような。

「結果的にデートて言えるだけだ。確かにたまには出かけたり買い物したりと足を伸ばしてるけど、毎回そんなことやってたら金がすぐになくなるぞ。学生なんだから身の丈にあったことをやればいいんだよ」

 学生らしい……か。俺の思っているデートを毎回やっていたら財布が常に氷河期状態だ。バイトは許されているとは言えど、デートのために資金集めで時間がない、なんてのは本末転倒だ。

「しいて言うと、ソータと遊んでる時と違うのは」

「のは?」

「相手の嬉しいことが何か考えることだな。自分本位の遊びばっかじゃなくて、面白いと思ってもらいいから一緒にいたいんだしな」

 まさに、その一言を知りたかった。

「そういう気持ちが大切なんですね」

「あくまで俺の考えだけどね。どう、参考になったかな」

「はいとっても。ありがとうございます」

「いいよいいよ。またソータが奢ってくれるならいくらでも」

「そう何度も奢るかよ。ケーキを何個も注文しやがって」

 俺の財布が今から心配になる。

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