第3-7話 まずは一歩
もう一度、しっかり考えてみよう。素人がいきなり面白いものを書けるだなんて流石に思ってない。まずは身近なところからはじめよう。
今、俺はなにを書けばいいか、から分かっていない。ならば書けることを考えよう。ファンタジーは見る分には面白いが、知識がない。魔法とか異能力と呼ばれるモノも、どこかのマンガから持ってきたものになってしまいそう。俺オリジナルと言ったら……
「自分自身のことか」
自分の分身、行動とか発言を自分が言ったみたいにすれば、もしかしたら書けるかも知れない。なら主人公は学生にしたほうがいい。学校でスポコンものにしようにも部活は入ったばっかり。書けるようなネタもない。なら、ほかに学生が行っていることは……これにするかぁ? でも経験なんてないしなぁ。ギャグセンスがあるわけじゃないからギャグものも避けたいし。これにしてみるかぁ?
恋愛。ラブコメ。
彼女いない歴と年齢が同じ俺にはハードルが高いんじゃないか。人を好きになるってのもよくわかっていない。毎年、クリスマス、バレンタインは通常日と何ら変わらない一日を過ごしていた俺にかけるんだろうか。
けどやってみたい。今までの自分と変えるんだったらここでラブコメを書くのは悪くないんじゃないか。実際、妄想みたいなことはしたことはある。彼女がいたら何しようか、どこに行こうか、ケイの話を聞いて考えだけ膨らんだこともあった。それを元に書いてみるのはいいんじゃないか。今の自分にできることはこのあたりからだ。これを元に考えてみよう。
ふと、視線を感じ顔を上げる。そこにはさっきまでの俺がいた。
「見てるなら何かってくれよ。恥ずかしい」
「最初はそっちがしてきたんじゃないですか。これでおあいこです」
「俺はちゃんと見るって言ったからな。無断じゃない」
「お返しなのに最初に言ってたら意味ないじゃないですか」
うるさい。思ったより恥ずかしかったんだ。とりあえず、話を逸らそう。
「俺の方はなんとか動き出したけどそっちはどうなんだ」
「私ですか。そうですね。大まかな流れは見えてきましたよ。前々から考えていた分もあるので、使えるかは実際に書いてみないことにはわからないんですけどね」
「それはおめでたい」
「いえ、これからです。前も言いましたが、私はこのあと躓くんです。今まで偉そうに教えてきましたが、所詮は未完成しか作れてないんですよ」
その姿に見惚れた俺としては関係ないと思うけど。
「だから今回は完成させたいんです。何より辰巳さんがいますからね」
「いたところで変わらないぞ」
「そんなことないと思いますよ」
「なら証明して欲しいね」
「んー。分かりました!」
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