第2-4話 三者面談?

「おふたりは仲がいいんですね」

「そう? こんなもんじゃない?」

「俺はケイとぐらいしかこんなノリにならない」

「確かにソータはそうだな」

 こいつが他人の心にうまいこと入っていけるだけだ。さっきの友達然り、ケイはみんなに好かれてる。俺なんかとつるむことがおかしいと思われているくらいだ。俺としては寂しい高校生活を送らなくていいんだが。

「ソータだってもっと前向きにいれば自然と友達増えるさ。斜に構えてるから周りが近寄れないんだよ」

「そんなつもりはない。面倒くさくなりそうな事は、事前に遠ざけるようにしてるだけだ」

「そういうこというから仲良くなれないんだって」

 自覚はないことはない。むしろバリバリに感じている。もっと素直に生きられたら違う生活をしているかもしれない。それでも俺は、今の環境で妥協できるのだ。変えようとして失敗なんかしたくない。

「いいんだよ。平々凡々の人生で」

「まーた捻くれて。櫻尾さんは諦めないでね。こいつとっつきにくいかも知れないけど、いいやつだから。いいやつではあるから」

「は、はい。辰巳さんはいい人です」

「お前は俺の親か。いいからむこう戻れよ。あいつらときたんだろ」

 離れた席に座った先ほどの彼らは頼んだ飲み物を飲みながら何やら話し込んでいる。

「今は戻りたくない。戻ったら絶対話のネタにされる。そんなの嫌だろ。だから俺はこっち」

「おいそれ俺のセリフだ」

「はははは」

 櫻尾からも乾いた笑いが聞こえる。今日一日で櫻尾はまさに話題の中心人物だったわけだ。そりゃ呆れるわな。

「あの感じだと俺はお前らを犠牲にすれば逃れられそうだ。だから頼む」

 机に額をこすりつけて頭を上げている。そう拝まんでも。

「私は大体のことは今日聞かれましたよ」

「だそうだ。なにを聞きたいんだよ」

「俺が聞きたいのは一つ。ソータのことをよろしく頼めるか?」

「なんだそりゃ?」

なんで俺のことを聞くんだ。もっと櫻尾のことを聞くべきだろう。聞かれた櫻尾もきょとんとしている。

「私にできることがあれば……」

「てかそれなら俺が櫻尾のことを頼まれる方だろう」

この学校での知り合いは俺ぐらいだぞ。たった一日差ではあるけれど。

「それはそうなんだがソータが心配になってさ」

「だから俺の親かよ」


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