286,はじめての初日の出

「うえっ……、眠いって、エグいってこれ……」


 座布団で眠ってもうた……。暖房切らなくて良かった。実家だったら切られて終わってた。命が。


 スマホのアラームに起こされて独り言を漏らす朝5時45分。6チャンネルをつけっぱなしにしていたテレビ。年越しの音楽番組はもう終了している。


 この時間に起きた理由。初日の出。浜辺で5人と待ち合わせ。私より海から遠い武道くんは6キロの道のりをチャリで来るらしい。いやしんどいって。私は行けるところまでバス。


 コートを羽織り、マフラーを巻き、眠気眼で出発。


 瑠璃色の空、風は弱く寒さは感じない。西の空にひときわ煌めく星が見える。


 初日の出も冬の早朝の星空も、福島にいたころは見なかった光景。


 小出県道を北へ歩く。海のほうへ向かう自転車と数台擦れ違った。自転車と並んで走っている人もいる。


 中古車販売店の前からバスに乗った。夏、帰省するときに乗った満員バスと打って変わって乗客は数人。


 とりあえず最後部の長椅子に座り、白眼を剥いて気絶する。


 はいすぐ着いた。渋滞なし、踏切待ちなし、信号待ちは国道1号線の駅前交差点で1回だけ。


 エスカレーターで上がる。左手で手すりを掴みながら右下のタクシープールを確認。1台もいない。駅舎に入ってすぐの自販機でホットのロイヤルミルクティーを購入。南口に出てバスに乗り換える。


 南口はあまり来ないからよく知らないんだよな。


 バス会社公式のロケーションシステムに従い2番乗り場のバスに乗車。辻堂駅南口行。これで4つ目の駐在所前で下車。ここまでの車窓で初日の出に向かうと思われる無数の者どもを確認。


 外は吹雪、布団を被っていた福島にいたころとは何もかもが違う。


 バスを降りて一中通りを歩き海へと向かう。海岸へ向かうバスを待つと始発便でも日の出時刻を過ぎるから、仕方なくそれなりに近い駐在所前バス停まで行きそこから徒歩。


 人多いな。歩道は緑に塗装されているだけで歩車分離の段差がない。路駐し放題。通学路だったら絶対危ない。


 沿道にはテレビで見るような白やガラス張りを基調としたお洒落な建物やカフェがずらり。きょうに限ってなのか既に営業中。歩いている人々が大してお洒落でもないのが唯一の救い。そういえば都会の人ってお洒落しないよな。都会者ぶって下手に着飾って空回りするのは田舎者の性か。夏は喜多方ラーメンTシャツと半ズボンジャージ、クロックスで出歩いても大丈夫そう。


 カルチャーショックで半ば混乱しながら歩みを進め、幹線道路を跨ぐ歩道橋上でまさかの歩行者渋滞。右に朝焼けに染まる富士山。これはいま住んでいるアパートの近くでも見える。コミケほどではないけど日の出に間に合うかな。スマホを確認、6時45分。日の出は6時51分から52分ころだという。


 ここまで来て間に合わないとかしんどいぞ。松林で見えないけど、きっと浜辺はもうすぐそこなのに。頼む、間に合ってくれ!

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私たちは青春に飢えている ~茅ヶ崎ハッピーデイズ!~ おじぃ @oji113

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