鑑識の鋏塚君の事件ファイルNo.5
鑑識の鋏塚君の事件ファイルNo.5
『義兄<アニ>の義母<ママ>に我が継母<ママ>に僕は君までも斬りつけた』Page1
「俺は鑑識の鋏塚新次郎【巡査長】だ。」
夏真っ盛りの酷暑なのに俺の勤務先の警察署は『秋庭署<アキバショ>』と言う。この一連のシリーズをここまで読み続けてくれた方には心から感謝します。
初めての方はこれからもよろしくお願いします。
って、俺は誰に語りかけているんだ?【作者の都合】が働いている?
ここのところ、俺の外キャラが完全崩壊しているのは自覚している。
そこは徐々に修正していこうと思う。おっと独り言だから気にしないで欲しい。
本題に入ろう、今回の事件は日本刀【真剣】による連続殺傷事件についてである。
この事件だが、被疑者たる人物は通報を受けて駆けつけた入交さんたち刑事課の皆さんが現行犯逮捕して、署まで連行していった。
犯人と被害者の関係を洗い出そう。
【久保原 勤】<クボハラ ツトム>現行犯逮捕【犯人】
【久保原 咲】<クボハラ エミ>犯人の継母【死亡】
【久保原 綾】<クボハラ アヤ>犯人の妻【軽傷】
【竹木原 岳】<タケキハラ ガク>犯人の義兄(妻の兄)【犯行時不在】
【竹木原 涼】<タケキハラ リョウ>犯人の義母(犯人の妻と義兄の母)【死亡】
入交さんと話した限りでは、実行犯は久保原勤<クボハラツトム>で間違いないだろうとのことだった。
では、何故継母の久保原咲<クボハラエミ>と義母の<タケキハラリョウ>の2人を殺害し、尚且つ犯人は妻まで斬りつけたのだろうか? 何故、義兄の【竹木原岳】<タケキハラガク>は犯行時に不在だったのか? 本当に犯人は久保原勤の単独の犯行なのか?この3つの疑問符に明確な解答をを示すことが出来ればこの事件の動機、そして協力者が解るかも知れない。それにしても身内の犯行であることは確定しているのだ。軽傷の犯人の妻も辛いことだろうことは想像に難くない(つづく)
鑑識の鋏塚君の事件ファイルNo.5
『義兄<アニ>の義母<ママ>に我が継母<ママ>に僕は君までも斬りつけた』Page2
「入交さん、おはようございます!」
「おう、鋏塚君少しというか思いっきりまともな挨拶になったな!」
「それはさておき事件の件だ。誰に聞いたとかは言うなよ。久保原勤には多額の借金がある。犯行時不在の義兄の竹木原岳も多額の借金があるそうだ。用途は不明だがここまでで何か疑問点はあるか?」
「犯人の妻の久保原綾は健康な人ですか?なにか重病を抱えていませんか?」
「たしか心臓病を抱えていると耳にしたことがあるが。」
「やはり臓器移植レベルの高額医療費欲しさだったのか!勝手な解釈ですが。」
「まあ、ダメで元々揺さぶってみるさ久保原勤を。案外当たっているかも知れんな。」
と、入交さんは嘯<ウソブ>いた。 それから程なくして、入交さんから呼び出された。
「結論から言おう。ほぼお前さんの推理通りだ。久保原勤が妻を斬りつけた件はお前さんは触れずじまいだったな。」
「そうですね。」
「軽傷で済むように斬りつけて犯人との共犯の疑いを持たれない為にやったと奴らが自供した。久保原勤と竹木原岳がな。」
「竹木原岳は位置情報を逆手にとってスマホを自宅に置いてきて普段しない格好に着替えて久保原勤の手引きで久保原家の居宅に入り、犯行を補助した。そして双方とも親殺しになったわけだ。『親殺しのお金で命が助かりました』なんて言えねえだろう!本人の身にもなれ、阿呆が!」
竹木原岳の家の中から本人のスマホを押収したところ彼のアリバイはこのスマホがここにあっただけというトリックであることが露見し崩壊した。彼もまた共犯として法廷で裁かれることだろう。 悲しい妻思いの夫と妹思いの兄がしでかした、取り返しのつかない十字架を背負わなけらなくなった1人の女性を生みだしてしまったやるせない事件だった。
「おう!鋏塚君お疲れ。」
「お疲れさまです!入交さん。」
「やりきれねえなあ。俺たちの仕事ってなんなんだろうな。」
「それも捜すのが警察ではないですか!」
「ほほう、言うようになったな。お前さんが捜しても痕跡しか見えねえぞ!」
「鑑識だけにですか?参りました。」
その後に事件の全容を知った久保原綾さんは、手術を拒否した。
それからしばらくして、心臓病が悪化したらしくそのまま亡くなられたそうだ。
犯行に及んだ2人は訃報に何を思ったであろうか?
その気持ちを知る術は我が手にはない(つづく)
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