鑑識の鋏塚君の事件ファイルNo.4『初音刑事炎上か?』

鑑識の鋏塚君の事件ファイルNo.4

『初値刑事炎上か?』Page1

 刑事課に新人女性警察官が配属されたそうだ、【初値 未来流】<ハツネ ミクル>巡査というボカロをラノベが背負ってきたような奇妙なネーミングの本名がちょっぴりコンプレックスな人らしい。

 そんな彼女だが、普段の自分を変えられるという理由からコスプレをする所謂コスプレイヤーさんなのだそうだ。そこで初〇ミ〇のコスチュームでコミケ・コミフェスなどでコスプレして来場者達と記念撮影などをするのが楽しいのだそうだ。刑事課の彼女がロングヘア―であることは職務上望ましくないのでウィッグなどで対応しているのだそうだ。

 とあるコミフェスのオフ会に参加した際にツイッターなどのアカウントに何人かフォローしてもらった。それが間違いだった。

 確かにフォロワーの数は莫大に増えていった。しかし、本人がパソコンやスマホの画面を直視できないほどの罵詈雑言・事実無根の怨嗟の声で炎上していたのである。

 調子に乗ってなり切り過ぎたのかもしれない。そう彼女は反省していたそうだが彼女が泣き寝入りしなければならないいわれも無い。レイヤーとしてはそういったこともあることを承知しなければならないし自己責任社会が幅を利かせる中で安易に個人情報を晒すことがどれだけ危険かということを今度はブログで彼女は公開してしまったそうだ。その結果見事にブログも大炎上して閉鎖となった。

 しかし、彼女の巻き返しはここから始まる。(つづく)


鑑識の鋏塚君の事件ファイルNo.4

『初値刑事炎上か?』Page2

 ブログへ頻繁に汚返事を書き込んでくる人間が、あまりにも初値巡査の個人情報を知りすぎていることにブログを注視するようになってから彼女は薄々気づいていた。

「今日の家の天気は晴れでした。」と書き込んだら、

「そこの天気は雨だよ。」と汚返事が返ってきたので彼女はそれは確信に変わりそして慄然としたそうだ。さもありなん。俺でも怖いよそれ。しかし、その人物から執拗に汚返事が届くようになり耐え切れなくなった彼女はブログを閉鎖し事なきを得たと思った。が、それ以来彼女の周りに不審者と思われる痕跡が現れるようになった。そしてついに、

「今夜、逢いに行きます。」と綴られたスクラップメッセージが届いた。

 彼女は職場の同僚である入交警部に相談した。

「課長にも相談するが今夜は家から出るな。俺たちの応援を待て。怪しい動きがあったら部屋の照明を二回点滅させろ。そしたら対象者を確保する。」

 その夜、暗い雨の降る深夜三時初値巡査の部屋を何者かがノックしだした!彼女は平常心をもって部屋の照明を二回点滅させた。途端に入交警部たちが不審者を取り押さえた。

「お兄さん、悪いけど署までご同行願おうか?」

 不審者はおとなしく観念しながら頷いた。そして、取調室に現れた刑事を見て度肝を抜かれることになる。

「ワタシは、秋庭署刑事課の初値です。あなたの取り調べを行います。女性と思って侮ると碌な目に遭いませんよ?正直に自供してください!」(おわり)

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