第2話 家の住人
目が覚めると冷たい地べたと土の匂いを感じた。太陽の高さを見ると、朝になってまだ時間がそんなに経ってないみたいだ。今度こそ誰かに出会うチャンスだろう。
「あの。すみません。誰かいませんか。」
近くあった家に語り掛けてみる。じっと待つ。返事が来るのを待つ。いまかいまかと待つ。朝になったのだから返事くらいして見に来てくれるだろう。そんなに夜に言い回ったことが悪かったのだろうか。こちらから先に玄関を開けてやろうか。まだ返事が来ない。
結局待っても返事は来なかった。そうしてすべての家を回って同じことをしてみた。
物音一つしなかった。
こんなことって在りうるのだろうか。意味が分からない。なぜ返事が返ってこないんだ。落胆と同時に訳の分からない恐怖が身を襲った。家を見てしまおう。それしか方法はない。もしかしたら中で人が不安で震えているかもしれない。そうしたら話して誤解だったのだと話そう。今の良く分からない状態も治る手掛かりが見つかるかもしれない。
玄関の扉を開けた。そして家の中を見た。
あるはずの物がなかった。
机も座布団も食器も、家具は存在しなかった。畳さえ無い。むき出しの家の柱があって土がむき出しの状態になってる。これじゃ誰も住めない。
引っ越しの後か前だろうか。それとも、この家で何か起きたのか。他の家はどうなっているんだ。。。もしかして、違うだろうな。嫌な考えが浮かんだ。そんな訳がないだろう。田んぼや畑があるのだから人が居るに違いない。
ビロンッ__
琴の音が鳴った。まだ誰かいるかもしれない。
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