第2話

自己紹介を終えた後の休み時間。

さっそく、話しかけてきた人たち(女の子)がいた。


「はじめまして、つかさちゃん、よろしくね。私はりおん」


「よろしくー、華だよ」


「ってか、すっごくかわいいね!?」


一気に色々な人がいるからよく理解できない。しかも、名前もまだ覚えてない。けど、褒められてるということは分かった。目の中のハイライトの量半端ないからね。


「うん、よろしくー」


とりあえず無難な挨拶をしておく。

後ろからもチラチラと目線を感じていた。男の子から。


(ふっ……ボクから特別にサービスだよっ⭐︎)


と心の中でのセリフ付きで、にっこり笑顔で手を振った。反応も顔を真っ赤にしたり、目を恥ずかしそうに逸らしたりと様々で、それはそれはおもしろかった。


先ほどの女の子のグループが何処かへ行くと、男の子数人が来た。


「はじめまして、よろしく」


「……よろしく………」


などと、さっぱりとした挨拶。やっぱり短い挨拶の方がいいよね、と思いながら先ほど同様、無難な挨拶をする。


「ん、ボクはつかさ。よろしくねー」


やっぱりかわいい……などという声が上がる。

そりゃあボクよりかわいい人なんて滅多にいないけど。


と、そこで休み時間が終わる。


そのあとは、教科書の配布やらオリエンテーションやらで疲れた。


「やっと帰りだ〜」


そう独り言を言いながら帰ろうとすると、1人のクラスメイトに声をかけられた。


「あの、少しいいですか」


言いたいことは分かっていたし、初対面でも惚れられることは少なくない。


(まぁいつも通りに断るか……少し、いやかなり申し訳ないけど、ボクがかわいいのが悪いんだ、許してくれ……)

と、自意識高めな独り言を頭の中で呟く。


「うん、いいよー。なに?」


それでも笑顔で対応することには変わらない。


「あの、一目惚れです、好きです!付き合ってください……」


教室では言わないとは思ってたから少しびっくりしたけど、笑顔を崩さず、けれど申し訳なさそうに決まり文句を言った。


「ごめんね、よく君のこと知らないから。それはできないな。それに……」


正確に言えば、『ここまでは』決まり文句だ。続けて、クラスにいた人のうちの3分の2の人が口をあんぐりと開ける言葉を続ける。


「ボクがいつ、女の子だって言った?」


満面の笑みでその言葉を言い放つ。やはり衝撃的だったのか、クラスの3分の2の人が口をあんぐりと開けながらボクを直視した。


あー、このセリフ、何回言ってもこの顔されるんだな。





これは、最強かわいい『男の娘』が主人公のラブコメである。



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