第12話 時代
子供達が学校に通うようになり、時間に余裕ができた私は、パートで働くようになりました。
私の父は商売が好きな人で農家を営みながら、家具屋や喫茶店を経営していたのです。
私もそこで雇ってもらうことになりました。
家具屋での仕事はほとんど伝票整理ぐらいなもので、遊びに行っているようなものでした。
今思えば、、、。
今思えばあの頃の私は、
改めて自分の人生を歩みだしたようなものだったのかもしれません。
自分で働き収入を得て自分の物を買う。
当たり前のようですが、私は何年も主婦であり母であったため、夫の稼ぎで家計を預かり、貯蓄や、積立をし、、節約に努めていたのです。
私のお小遣いは家でする内職でした。
ニット衣類の会社から、出荷前の衣類が束で届き、その衣類の点検をするのです。
裏側に出ている余分な糸を切り、商品に札をつける内職でしたが、
あなたが私の留守中に、そのハサミで遊び指を怪我した時に、その内職もやめてしまいました。
内職などというと、お金に困っているように思われるかもしれませんが、実は夫の稼ぎはとても良かったのです。
あの人と結婚してからお金に不自由する事はありませんでした。
ですが、私には夢がありました。
家を建てるという夢です。
そして将来の安定を望んでいました。
それが私にとって人生の成功だと考えていたのです。
自分で働いてお金を使い、お金を貯める。
自分専用の軽自動車も買って、自由で忙しい。若い私の良き時代でした。
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